公衆衛生用薬1

2026年7月15日

感染症

感染症の原因

感染症は、病原性のある細菌、 寄生虫やウイルスなどが体に侵入 することによって起こる望ましくない反応で、 日常生活で問題となひまつかんせんあるのは、飛沫感染するものや経口感染するものが多いとされています。特に食中毒は、 手指や食品、 調理器具等に付着した細菌、 寄生虫 やウイルスが、経口的に体内に入って増殖することで生じます。 一般に、夏は細菌による食中毒が、冬はウイルスによる食中毒が 発生することが多いと言われています。

感染症の予防

通常の健康状態にある人では、 生体に元来備わっている防御機能 が働くため、一般的には、 石けんで十分に手洗いを行い、 器具等に ついては煮沸消毒等を行うといった対応により食中毒を防止するこ とができます。しかし、煮沸消毒が困難な器具等もあり、 また、 食中毒の流行時 期や、明らかに感染者が身近に存在するような場合には、 集団感染 を防止するため念入りに、 化学薬剤 (消毒薬) を用いた処置を行う ことが有効とされます。

殺菌・消毒

殺菌・消毒は生存する微生物の数を減らすために行われる処置で、 滅菌は物質中のすべての微生物を殺滅または除去することです。 な お、微生物とは、肉眼ではその存在を知ることができず、顕微鏡な どによって観察できる程度以下の生物を指し、 細菌だけでなく、 藻 類 原生生物、 菌類やごく小型の動物なども含まれます。

消毒薬が微生物を死滅させる仕組みおよび効果は、 殺菌消毒成分 の種類、濃度、温度、時間、 消毒対象物の汚染度、 微生物の種類や 状態などによって異なります。消毒薬によっては、 殺菌消毒効果が十分得られない微生物が存在 (全く殺菌消毒できない微生物もある。)、 さらに、 生息条件が整 えば消毒薬の溶液中で生存、増殖する微生物もいます。殺菌消毒の対象となる微生物を考慮し、適切な医薬品の選択、 定められた用法に従って適正な使用がなされることが重要です。

殺菌消毒成分

手指・皮膚のほか、 器具等にも用いられる成分

①クレゾール石けん液
(a) 作用
結核菌を含む一般細菌類、 真菌類に対して比較的広い殺菌消毒作用を示します。同様な殺菌消毒作用を有する成分として、 ポリアルキルポリア ミノエチルグリシン塩酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニ ルエーテル等が用いられることもあります。

(b) 留意事項
大部分のウイルスに対する殺菌消毒作用はありません。日本薬局方に収載されているクレゾール石けん液は、原液を水きしゃくで希釈して用いられますが、刺激性が強いため、 原液が直接皮膚 に付着しないようにする必要があります。 付着した場合には直ち に石けん水と水で洗い流し、炎症等を生じたときには医師の診療 を受けるなどの対応が必要です。

② エタノール、イソプロパノール
(a) 作用
アルコール分が微生物のタンパク質を変性させ、それらの作用 を消失させることから、 結核菌を含む一般細菌類、 真菌類、 ウィ ルスに対する殺菌消毒作用を示します。イソプロパノールでは、ウイルスに対する不活性効果はエタ ノールよりも低いとされています。

(b) 留意事項
脱脂による肌あれを起こしやすく、 皮膚へ繰り返して使用する 場合には適しません。粘膜刺激性があり、 粘膜面や目の回り、傷がある部分への使用 は避けることとされています。揮発性で引火しやすく、 また、 広範囲に長時間使用する場合には、 蒸気の吸引にも留意する必要があります。

③ クロルヘキシジングルコン酸塩
(a) 作用
一般細菌類、 真菌類に対して比較的広い殺菌消毒作用を示します。

(b) 留意事項
結核菌やウイルスに対する殺菌消毒作用はありません。

【手指・皮膚、器具等の殺菌・消毒に用いられる成分】 手指または皮膚の殺菌・消毒を目的とする消毒薬のうち、 配合 成分やその濃度等があらかじめ定められた範囲内である製品に ついては、医薬部外品として流通することが認められています。 器具等の殺菌消毒を併せて目的とする製品については、 医薬 商品としてのみ製造販売されています。

2 専ら器具等に用いられる成分

①塩素系殺菌消毒成分

(a) 作用

次亜塩素酸ナトリウムやサラシ粉などの塩素系殺菌消毒成分 は、強い酸化力により一般細菌類、 真菌類、 ウイルス全般に対す る殺菌消毒作用を示します。

(b) 留意事項

皮膚刺激性が強いため、 通常人体の消毒には用いられません。 金属腐食性があるとともに、 プラスチックやゴム製品を劣化さ せます。 漂白作用があり、 毛、 絹、 ナイロン、 アセテート、 ポリ ウレタン、 色 柄物等には使用を避ける必要があります。としゃぶつ酸性の洗剤・洗浄剤と反応して有毒な塩素ガスが発生するため、 混ざらないように注意する必要があります。 吐瀉物や血液等が床 等にこぼれたときの殺菌消毒にも適していますが、 有機物の影響 を受けやすいので、殺菌消毒の対象物を洗浄した後に使用した方 が効果的です。

②有機塩素系殺菌消毒成分

ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、 トリクロロイソシアヌル酸 等の有機塩素系殺菌消毒成分は、塩素臭や刺激性、 金属腐食性が比 較的抑えられており、 プール等の大型設備の殺菌・消毒に用いられ ることが多いとされています。

3誤用・事故等による中毒への対処

基本的に応急処置の後は、速やかに医療機関を受診するなどの対 応が必要です。

1 誤って飲み込んだ場合

一般的な家庭における応急処置として、 通常は多量の牛乳などを 飲ませますが、 手元に何もないときはまず水を飲ませます。いずれにしても中毒物質の消化管からの吸収を遅らせ、 粘膜を保ごいん護するために誤飲してから数分以内に行いますピなお、原末や濃厚液を誤って飲み込んだ場合には、自己判断で安 易に吐き出させることは避けます。

【中毒物質の消化管吸収遅延・粘膜保護のための処置】 牛乳以外にも、卵白を水に溶いた卵白水や、小麦粉を水で溶い たものを用いてもよいとされています。 なお、これらを作るの に手間がかかる場合は早めに水を飲ませることを優先すべきで す。

2 誤って目に入った場合

顔を横に向けて上から水を流すか、 水道水の場合には弱い流れの 水で洗うなどにより、 流水で十分に (15分間以上) 洗眼します。 水流が強いと目に障害を起こすことがあります。目が痛くて開けられない時には、水を満たした容器に顔をつけて、 水の中で目を開けてもよいとされています。酸やアルカリが目に入った場合は、 早期に十分な水洗がされるこ とが重要であり、 特にアルカリ性物質の場合には念入りに水洗しま す。

なお、酸をアルカリで中和したり、 アルカリを酸で中和 (相反すある物質が接触し、 それぞれの性質が失われること) するといった処 置は、熱を発生して刺激をかえって強め、 状態が悪化するおそれが あるため適切ではありません。

3 誤って皮膚に付着した場合

流水をかけながら着衣を取り、 石けんを用いて流水で皮膚を十分 15分間以上) 水洗します。酸やアルカリは早期に十分な水洗がなされることが重要であり、特にアルカリ性の場合には念入りに水洗します。 目に入った場合とちゅうわざい同様、 中和剤は用いません。

4 誤って吸入した場合

意識がない場合は新鮮な空気の所へ運び出し、 人工呼吸などをします。

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