一般検査薬

2026年7月15日

1 一般用検査薬

1 体外診断用医薬品

専ら疾病の診断に使用されることが目的とされる医薬品のうち、 人体に直接使用されることのないものを体外診断用医薬品といいま す。

体外診断用医薬品の多くは医療用検査薬ですが、 一般用検査薬に ついては、 薬局または医薬品の販売業 (店舗販売業、 配置販売業) において取り扱うことが認められています。

2 一般用検査薬の使用目的

一般用検査薬は、一般の生活者が正しく用いて健康状態を把握し、 速やかな受診につなげることで疾病を早期発見するためのもので す。ふんぺんびじゅうだえき るいえき検査に用いる検体は、尿、糞便、 鼻汁、 唾液、 涙液など採取に際 して侵襲のないもの (採血、 穿刺等をしないで得られた検体) です。 検査項目は、 学術的な評価が確立しており、 情報の提供により結 果に対する適切な対応ができるものであり、 健康状態を把握し、受 診につなげていけるものです。なお、悪性腫瘍、 心筋梗塞や遺伝性疾患など重大な疾患の診断に関係するものは一般用検査薬の対象外です。

3 販売時の留意点

販売を行う際には、各検査薬の一般用医薬品の分類による販売方 法を行うとともに、 次の事項について、 製品や添付文書等を用い、 購入者等が購入後も確認できるように分かりやすく説明する必要が あります。

●一般用検査薬の適正使用における販売時に必要な説明事項 ●

・専門的診断におきかわるものでないことについて分かりや すく説明する。

検査薬の使い方や保管上の注意について分かりやすく説明 する。

・検体の採取時間とその意義を分かりやすく説明する。

・妨害物質および検査結果に与える影響を分かりやすく説明 する。

・検査薬の性能について分かりやすく説明する。

・検査結果の判定について分かりやすく説明する。

適切な受診勧奨を行う。 特に、医療機関を受診中の場合は、 通院治療を続けるよう説明する。

・その他購入者等からの検査薬に関する相談には積極的に応じること。

また、相談に応じる体制を充実し、 購入者等に問い合わせ先を周 知するとともに、 検査項目によっては、プライバシーに配慮した形 で製品の説明を行うことが望ましいとされています。

2 検出感度、偽陰性・偽陽性

1 検出感度

検査薬は、対象とする生体物質を特異的に検出するように設計さています。しかし、検体中の対象物質の濃度が極めて低い場合には検出反応起こらずに陰性の結果が出ます。検出反応が起こるための最低限の濃度を検出感度 (または検出限)といいます。

2 偽陰性と偽陽性

検体中に存在しているにもかかわらず、 その濃度が検出感度以下 であったり、 検出反応を妨害する他の物質の影響等によって、 検査 結果が陰性となった場合を偽陰性といいます。

逆に、 検体中に存在していないにもかかわらず、 検査対象外の物ぎよう質と非特異的な反応が起こって検査結果が陽性となった場合を偽陽せい性といいます。

生体から採取された検体には予期しない妨害物質や化学構造がよ く似た物質が混在することがあり、いかなる検査薬においても偽陰 性偽陽性を完全に排除することは困難です。 一般に、 検出感度を 鋭敏にしようとすると非特異的な反応が起こりやすくなって偽陽性 を生じる可能性が高くなり、 偽陽性を生じることを避けるために特 異性を高めると検出感度が鈍くなってしまいます。また、 検査薬が高温になる場所に放置されたり、冷蔵庫内に保管 されていたりすると、設計どおりの検出感度を発揮できなくなるお それがあります。

3 尿糖尿タンパク検査薬

1 検査値に異常を生じる要因

泌尿器系の機能が正常に働いていて、 また、 血糖値が正常であれば、糖分やタンパク質は腎臓の尿細管においてほとんどが再吸収されます。

①尿糖値の異常

尿糖値に異常を生じる要因は、 一般に高血糖と結びつけて捉えら れることが多いですが、腎性糖尿等のように高血糖を伴わない場合 もあります。

②尿タンパク値の異常

尿中のタンパク値に異常を生じる要因については、腎臓機能障害によるものとして腎炎やネフローゼが、尿路に異常が生じたことよるものとして尿路感染症、 尿路結石、膀胱炎等があります。

2 検査結果に影響を与える要因

尿糖尿タンパクの検査結果に影響を与える主な要因事由として次のものがあります。

●検査結果に影響を与える主な要因事由

採尿に用いた 容器の汚れ=採尿のタイミ ング採尿の仕方糖分やタンパク質が付着している容器に尿を採 取すると正確な検査結果が得られないので、 清 浄な容器が使用される必要がある。

採尿のタイミング=・尿糖検査の場合、 食後1~2時間等、 検査薬の 使用方法に従って採尿を行う。・尿タンパクの場合、原則として早朝尿 (起床直 後の尿) を検体とし、激しい運動の直後は避け る必要がある。

※早朝尿は、常に一定の条件で検査がなされるの にも適している。尿糖尿タンパク同時検査の場合、 早朝尿 (起 床直後の尿) を検体とするが、 尿糖が検出され た場合には、食後の尿について改めて検査して 判断する必要がある。

採尿の仕方=・出始めの尿では、 尿道や外陰部等に付着した細 菌や分泌物が混入することがあるため、 中間尿を採取して検査がなされることが望ましいとされている。

検体の取扱い=・採取した尿を放置すると、雑菌の繁殖等によっ て尿中の成分の分解が進み、 検査結果に影響を 与えるおそれがあるので、なるべく採尿後速や かに検査がなされることが望ましいとされる。

•検査薬の取扱=尿糖または尿タンパクを検出する部分を直接手 で触れると、正確な検査結果が得られなくなる ことがある。長い間尿に浸していると検出成分が溶け出して しまい、正確な検査結果が得られなくなること がある。

食事等の影響=通常、 尿は弱酸性であるが、 食事その他の影響 で中性~弱アルカリ性に傾くと、正確な検査結 果が得られなくなることがある。医薬品の中にも、 検査結果に影響を与える成分 を含むものがある。・医師 (または歯科医師) から処方された薬剤(医 療用医薬品)や一般用医薬品を使用している場 合には、医師等または薬剤師に相談するよう説 明するべきである。

3 検査結果の判断尿糖尿タンパク検査薬は、 尿中の糖やタンパク質の有無を調べ るものであり、その結果をもって直ちに疾患の有無や種類を判断す ることはできません。

4 受診勧奨

尿糖または尿タンパクが陽性の場合には、 疾患の確定診断や適切な治療につなげるため、早期に医師の診断を受ける必要があります。 また、検査結果では尿糖または尿タンパクが陰性でも、何らかの 症状がある場合は、 再検査するかまたは医療機関を受診して医師に 相談するなどの対応が必要です。

4 妊娠検査藥

1 妊娠の早期発見の意義

妊娠の初期(妊娠12週まで) は、 胎児の脳や内臓などの諸器官 が形づくられる重要な時期で、 母体が摂取した物質等の影響を受け やすい時期です。 なお、 妊娠が成立した日の厳密な特定は困難なこ とがあるため、 通常、 妊娠週数は最後の月経が始まった日から起算 されます。

そのため、妊娠しているかどうかを早い段階で知り、 食事の内容 や医薬品の使用に適切な配慮がなされるとともに、 飲酒や喫煙、 風しんすいとう みずぼうそう」疹や水痘(水疱瘡) などの感染症、 放射線照射等を避けることが、 母子の健康にとって重要となります。食事に関して、 例えば、 妊娠期間中は、 食事中に含まれる魚介類 (クジラ等を含む) の種類と量に留意する必要があり、 また、 鉄分 等の栄養素が不足し、 貧血になりやすくなります。 感染症に関して は、妊娠期間中に風疹や水痘などにかかると、 胎児に先天異常を生 じることがあります。

2 検査結果に影響を与える要因

妊娠が成立すると、 胎児 (受精卵) を取り巻く絨毛細胞からヒト絨毛性性腺刺激ホルモン (hCG) が分泌され始め、やがて尿中に hCGが検出されるようになります。

妊娠検査薬は、尿中の hCG の有無を調べるものであり、通常、 実際に妊娠が成立してから4週目前後の尿中hCG 濃度を検出感度としています。

検査結果に影響を与える主な要因

検査の時期=・一般的な妊娠検査薬は、月経予定日が過ぎて概 ね1週目以降の検査が推奨されている。月経周期が不規則な人や、月経の日数計算を間 違えた場合など、 それよりも早い時期に検査が なされ、 陰性の結果が出たとしても、それが妊 娠していないこと (単なる月経の遅れ) を意味 するのか、 実際には妊娠していて尿中hCGが検 出感度に達していないことによる偽陰性である のか判別できない。

採尿のタイミング=.検体としては、 尿中hCGが検出されやすい早朝 尿 (起床直後の尿) が向いているが、 尿が濃す ぎると、かえって正確な結果が得られないこと もある。

検査薬の取扱い、 検出反応が行われる環境=尿中hCGの検出反応は、 hCG と特異的に反応す る抗体や酵素を用いた反応であるため、 温度の 影響を受けることがある。検査操作を行う場所の室温が極端に高いか、 ま たは低い場合にも、正確な検査結果が得られないことがある。

検体の取扱い、 検体中の混在 物質=・採取した尿を放置すると、 雑菌の繁殖等によっ て尿中の成分の分解が進み、 検査結果に影響を 与えるおそれがあるので、なるべく採尿後速や かに検査がなされることが望ましいとされてい る。高濃度のタンパク尿や糖尿の場合、 非特異的な 反応が生じて偽陽性を示すことがある。

ホルモン分泌 の変動=絨毛細胞が腫瘍化している場合には、 妊娠して いなくても hCGが分泌され、 検査結果が陽性と なることがある。本来はhCG を産生しない組織の細胞でも、 腫瘍 化すると hCG を産生するようになることがある(胃がん、膵がん 卵巣がん等)。

経口避妊薬や更年期障害治療薬などのホルモン 剤を使用している人では、 妊娠していなくても尿中hCGが検出されることがある。閉経期に入っている人も、 検査結果が陽性とな ることがある。

3 検査結果の判断

妊娠検査薬は、妊娠の早期判定の補助として尿中のhCGの有無 を調べるものであり、その結果をもって直ちに妊娠しているか否か を断定することはできません。妊娠の確定診断には、尿中のホルモン検査だけでなく、専門医に よる問診や超音波検査などの結果から総合的に妊娠の成立を見極め る必要があります。

4 受診勧奨

妊娠が成立していたとしても、正常な妊娠か否かについては、妊 娠検査薬による検査結果では判別できないので、 妊娠週数が進むま まに漫然と過ごすのでなく、 早期に医師の診断を受けるなどの対応 が必要です。また、検査結果が陰性であって月経の遅れが著しい場合には、偽陰性であった(実際は妊娠している) 可能性のほか、 続発性無月 経等の病気であるおそれもあり、医療機関を受診して専門医へ 相談するなどの対応が必要です。

【続発性無月経 】初潮後ある程度月経を経験した女性の月経が3ヶ月以上なくなる疾患です。無理なダイエットや拒食症、過度のスポーツ等が原因でしばし ば起こり得ます。

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