皮膚に用いる薬1

2026年7月29日

外皮用薬(皮膚に用いる薬)

1. 外皮用薬の用途

外皮用薬は、皮膚表面に生じた創傷や症状、または皮膚の下にある毛根、血管、筋組織、関節等の症状を改善・緩和するため、外用局所に直接適用される医薬品です。


2. 外皮用薬の使用上の注意

外皮用薬を使用する際には、適用する皮膚表面に汚れや皮脂が多く付着していると有効成分の浸透性が低下するため、患部を清浄にしてから使用することが重要です。なお、水洗に限らず、清浄綿を用いて患部を清拭する等の方法でもかまいません。

また、表皮の角質層が柔らかくなることで有効成分が浸透しやすくなることから、入浴後に用いるのが効果的とされています。


3. 外皮用薬の剤形による取扱い上の注意

① 塗り薬(軟膏剤、クリーム剤)

薬剤を容器から直接指に取り、患部に塗布したあと、また指に取ることを繰り返すと、容器内に雑菌が混入するおそれがあります。いったん手の甲などに必要量を取ってから患部に塗布することが望ましいとされています。

また、塗布したあと手に薬剤が付着したままにしておくと、薬剤が目や口の粘膜等に触れて刺激感等を生じるおそれがあるため、手についた薬剤を十分に洗い流すべきです。

② 貼付剤(テープ剤、パップ剤)

患部やその周囲に汗や汚れ等が付着した状態で貼付すると、有効成分の浸透性が低下するほか、剥がれやすくもなるため十分な効果が得られません。

同じ部位に連続して貼付すると、かぶれ等を生じやすくなります。

③ スプレー剤、エアゾール剤

強い刺激を生じるおそれがあるため、目の周囲や粘膜(口唇等)への使用は避けることとされています。

それ以外の部位でも、至近距離から噴霧したり、同じ部位に連続して噴霧すると、凍傷を起こすことがあります。使用上の注意に従い、患部から十分離して噴霧し、また、連続して噴霧する時間は3秒以内とすることが望ましいとされています。

使用時に振とうが必要な製品では、容器を振ってから噴霧します。また、吸入によりめまいや吐きけ等を生じることがあるので、できるだけ吸入しないよう、また、周囲の人にも十分注意して使用する必要があります。


4. 外皮用薬に共通する主な副作用

局所性の副作用として、適用部位に発疹・発赤、痒み等が現れることがあります。

これらの副作用は、外皮用薬が適応とする症状と区別が難しい場合があり、外皮用薬を一定期間使用しても症状の改善がみられない場合には、漫然と使用を継続することなく、副作用の可能性も考慮して、専門家に相談することが重要です。


5. きず口等の殺菌消毒成分

殺菌消毒薬は、日常の生活において生じる、比較的小さなきり傷、擦り傷、掻き傷等の創傷面の化膿を防止すること、または手指・皮膚の消毒を目的として使用される一般用医薬品です。

殺菌消毒薬のうち、配合成分やその濃度、効能・効果等があらかじめ定められた範囲内である製品については、医薬部外品(きず消毒保護剤等)として製造販売されていますが、火傷(熱傷)や化膿した創傷面の消毒、口腔内の殺菌消毒などを併せて目的とする製品については、医薬品としてのみ認められています。

① アクリノール

作用

黄色の色素で、一般細菌類の一部(連鎖球菌、黄色ブドウ球菌などの化膿菌)に対する殺菌消毒作用を示します。

留意事項

  • 真菌、結核菌、ウイルスに対しては効果がありません。
  • 比較的刺激性が低く、創傷患部にしみにくいものです。
  • 衣類等に付着すると黄色く着色し、脱色しにくくなることがあります。

【細菌と真菌と結核菌とウイルス】

  • 細菌:核がない原核細胞に分類される。
  • 真菌:核がある真核細胞に分類され、その遺伝子は核内に存在する。
  • 結核菌:蝋燭のロウのような物質に包まれており、薬剤抵抗性が高いため、通常、一般細菌類とは区別して扱われる。
  • ウイルス:核酸とタンパク質から構成される非細胞性生物(非生物)。

② オキシドール(過酸化水素水)

作用

一般細菌類の一部(連鎖球菌、黄色ブドウ球菌などの化膿菌)に対する殺菌消毒作用を示します。

留意事項

オキシドールの作用は、過酸化水素の分解に伴って発生する活性酸素による酸化、および発生する酸素による泡立ちによる物理的な洗浄効果であるため、作用の持続性は乏しく、また、組織への浸透性も低いとされています。

刺激性があるため、目の周りへの使用は避ける必要があります。

③ ヨウ素系殺菌消毒成分

作用

ヨウ素による酸化作用により、結核菌を含む一般細菌類、真菌類、ウイルスに対して殺菌消毒作用を示します。

留意事項

ヨウ素の殺菌力はアルカリ性になると低下するため、石けん等と併用する場合には、石けん分をよく洗い落としてから使用するべきです。

外用薬として用いた場合でも、まれに**ショック(アナフィラキシー)**のような全身性の重篤な副作用を生じることがあります。ヨウ素に対するアレルギーの既往がある人では、使用を避ける必要があります。

【ヨウ素に対するアレルギー】 医療用の造影剤などにもヨウ素が含まれているものが多いことから、造影剤によるアレルギーがある場合にもヨウ素を含むものの使用は避けることを考慮すべきです。

ヨウ素系殺菌消毒成分の成分名と特徴等

成分名特徴
ポビドンヨードヨウ素をポリビニルピロリドン(PVP)と呼ばれる担体に結合させて水溶性とし、徐々にヨウ素が遊離して殺菌作用を示すように工夫されたものである。口腔咽喉薬や含嗽薬として用いられる場合より高濃度で配合されているため、誤って原液を口腔粘膜に適用しないよう注意する必要がある。
ヨードチンキヨウ素およびヨウ化カリウムをエタノールに溶解させたものである。皮膚刺激性が強く、粘膜(口唇等)や目の周りへの使用は避ける必要がある。化膿している部位では、かえって症状を悪化させるおそれがある。

④ ベンザルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物、セチルピリジニウム塩化物

作用

陽性界面活性成分で、黄色ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌の細菌またはカンジダ等の真菌類に対する殺菌消毒作用を示します。これらと同種の成分(陽性界面活性成分)として、セトリミドが配合されている場合もあります。

留意事項

  • 結核菌やウイルスには効果がありません。
  • 石けんとの混合によって殺菌消毒効果が低下するので、石けんで洗浄した後に使用する場合には、石けんを十分に洗い流す必要があります。

⑤ クロルヘキシジングルコン酸塩、クロルヘキシジン塩酸塩

作用

一般細菌類、真菌類に対して比較的広い殺菌消毒作用を示します。

留意事項

結核菌やウイルスに対する殺菌消毒作用はありません

⑥ エタノール(消毒用エタノール)

作用

手指・皮膚の消毒、器具類の消毒のほか、創傷面の殺菌・消毒にも用いられることがあります。

留意事項

皮膚刺激性が強いため、患部表面を軽く清拭するにとどめ、脱脂綿やガーゼに浸して患部に貼付することは避けるべきとされています。また、粘膜(口唇等)や目の周りへの使用は避ける必要があります。

⑦ その他

イソプロピルメチルフェノール、チモール、フェノール(液状フェノール)、レゾルシンは、細菌や真菌類のタンパク質を変性させることにより殺菌消毒作用を示し、患部の化膿を防ぐことを目的として用いられます。

レゾルシンについては、角質層を軟化させる作用もあり、にきび用薬やみずむし・たむし用薬などに配合されている場合があります。


6. 一般的な創傷への対応

① 出血

出血しているときは、創傷部に清潔なガーゼやハンカチ等を当て、5分間程度圧迫し、止血します。

このとき、創傷部を心臓より高くして圧迫すると、止血効果が高まるとされています。

② 火傷

火傷(熱傷)の場合は、できるだけ早く、水道水などで熱傷部を冷やすことが重要です。

軽度の熱傷であれば、痛みを感じなくなるまで(15〜30分間)冷やすことで、症状の悪化を防ぐことができます。冷やした後は、水疱(水ぶくれ)を破らないようにガーゼ等で軽く覆うとよいとされています。水疱が破れると、そこから感染を起こして化膿することがあります。

③ 創傷面の汚れ

創傷面が汚れているときには、水道水などきれいな水でよく洗い流し、汚れた手で直接触れないようにするべきです。

水洗が不十分で創傷面の内部に汚れが残ったまま、創傷表面を乾燥させるタイプの医薬品を使用すると、内部で雑菌が増殖して化膿することがあります。

④ 適用の繰り返し

通常、人間の外皮表面には「皮膚常在菌」が存在しており、化膿の原因となる黄色ブドウ球菌、連鎖球菌等の増殖を防いでいます。

創傷部に殺菌消毒薬を繰り返し適用すると、皮膚常在菌が殺菌されてしまい、また、殺菌消毒成分により組織修復が妨げられて、かえって治癒しにくくなったり、状態を悪化させることがあります。

最近では、「創傷面に浸出してきた液の中に表皮再生の元になる細胞を活性化させる成分が含まれているため、乾燥させない方が早く治癒する」という考えも広まってきており、創傷面を乾燥させない絆創膏も販売されています。


7. 受診勧奨

① 症状による受診勧奨

出血が止まらないまたは著しい場合、患部が広範囲な場合、ひどい火傷の場合には、状態が悪化するおそれがあります。

特に低温火傷は、表面上は軽症に見えても、組織の損傷が深部に達している場合があり、医師の診療を受けるなどの対応が必要です。

② 殺菌消毒成分の効果の限度

また、殺菌消毒成分はすべての細菌やウイルスに対して効果があるわけではなく、5〜6日経過して痛みが強くなってくる、または傷の周囲が赤く、化膿しているような場合には、医療機関(外科または皮膚科)を受診するなどの対応が必要です。

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