症状からみた主な副作用3

2026年7月30日

循環器系に現れる副作用

1. うっ血性心不全

うっ血性心不全は、全身が必要とする量の血液を心臓から送り出すことができなくなり、肺に血液が貯留して、種々の症状を示す疾患です。

息切れ、疲れやすい、足のむくみ、急な体重の増加、咳とピンク色の痰などの症状を示します。このような症状が現れたときは、うっ血性心不全の可能性を疑い、早期に医師の診療を受ける必要があります。

心不全の既往がある人(心不全を患ったことのある人)は、薬剤による心不全を起こしやすくなります。

2. 不整脈

不整脈は、心筋の自動性や興奮伝導の異常が原因で心臓の拍動リズムが乱れる病態です。

めまい、立ちくらみ、全身のだるさ(疲労感)、動悸、息切れ、胸部の不快感、脈の欠落等の症状が現れます。このような症状が現れたときは、直ちに原因と考えられる医薬品の使用を中止して、速やかに医師の診療を受ける必要があります。

不整脈の種類によっては**失神(意識消失)**することもあり、その場合、生死に関わる危険な不整脈を起こしている可能性がありますので、**自動体外式除細動器(AED)**の使用を考慮するとともに、直ちに救急救命処置が可能な医療機関を受診することが必要です。

また、代謝機能の低下によって発症リスクが高まるとされており、腎機能や肝機能の低下、併用薬との相互作用等に留意するべきであり、特に、高齢者においては配慮が必要です。

そのため、医薬品の販売等に従事する専門家においては、医薬品を使用する本人だけでなく、その家族等にもあらかじめ注意を促しておくことが必要となります。

3. その他の留意事項等

心臓や血管に悪影響を及ぼす可能性が高い医薬品においては、高血圧や心臓病等、循環器系疾患の診断を受けた人は使用しないこととされています。

また、使用禁忌(使用しないこと)ではないものの、使用しようとする人の状態等に応じて使用の可否を慎重に判断すべき医薬品は、使用上の注意の「相談すること」の項で注意喚起されています。

こうした点に留意して医薬品を適正に使用した場合であっても、動悸(心悸亢進)や一過性の血圧上昇、顔のほてり等を生じることがあります。

これらの症状が現れたときには、重篤な症状への進行を防止するため、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、症状によっては医師の診療を受けるなどの対応が必要です。


泌尿器系に現れる副作用

1. 腎障害

医薬品の使用が原因となって腎障害を生じることがあり、**尿量の減少、ほとんど尿が出ない、逆に一時的に尿が増える、むくみ(浮腫)、倦怠感、発疹、吐きけ・嘔吐、発熱、尿が濁る・赤みを帯びる(血尿)**等の症状を生じます。

これらの症状が現れたときは、原因と考えられる医薬品の使用を中止して、速やかに医師の診療を受ける必要があります。

なお、外国から個人的に購入した医薬品(生薬・漢方薬)またはそれらと類似する健康食品(健康茶等)の摂取によって重篤な腎障害を生じた事例も報告されています。

2. 排尿困難・尿閉

① 症状

副交感神経系の機能を抑制する作用がある成分が配合された医薬品の使用によって、膀胱の排尿筋の収縮が抑制され、尿が出にくい、尿が少ししか出ない、残尿感がある等の症状を生じ、さらに進行すると、尿意があるのに尿が全く出なくなったり(尿閉)、下腹部が膨満して激しい痛みを起こすことがあります。

② 対応

上記のような症状が現れたときには、原因と考えられる医薬品の使用を中止します。多くの場合、原因となる医薬品の使用を中止することにより症状は速やかに改善しますが、医療機関における処置を必要とすることもあります。

前立腺肥大等の基礎疾患がない場合にも現れ、男性に限らず女性においても報告されています。初期段階で適切な対応が図られるよう、尿勢の低下等の兆候に留意することが重要です。

3. 膀胱炎様症状

膀胱炎様症状では、尿の回数増加(頻尿)、排尿時の疼痛、残尿感等の症状が現れます。

これらの症状が現れたときは、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、症状によっては医師の診療を受けるなどの対応が必要とされています。


感覚器系に現れる副作用

1. 眼圧上昇

眼球内の角膜と水晶体の間を満たしている眼房水が排出されにくくなると、眼圧が上昇して視覚障害を生じることがあります。

例えば、抗コリン作用(アセチルコリンの働きを抑える作用)がある成分が配合された医薬品によって眼圧が上昇し(急性緑内障発作)、眼痛や眼の充血に加え、急激な視力低下を来すことがあります。

特に隅角(眼房水の出口)が狭くなっている閉塞隅角緑内障がある場合には厳重な注意が必要です。眼圧の上昇に伴って、頭痛や吐きけ・嘔吐等の症状が現れることもあります。

高眼圧を長時間放置した場合には、視神経が損傷して不可逆的な視覚障害(視野欠損や失明)に至るおそれがあり、速やかに眼科専門医の診療を受ける必要があります。

2. その他

医薬品によっては、瞳の拡大(散瞳)による異常なまぶしさ、目のかすみ等の副作用が現れることがあります。

眠気と同様、そのような症状が乗物や機械類の運転操作中に現れると重大な事故につながるおそれがありますので、散瞳を生じる可能性のある成分が配合された医薬品を使用した後は、そうした作業は避けなければなりません。


皮膚に現れる副作用

1. 接触皮膚炎

① 症状

化学物質や金属等に皮膚が反応して、強い痒みを伴う発疹・発赤、腫れ、刺激感、水疱、ただれ等の激しい炎症症状(接触皮膚炎)が起きることがあり、色素沈着、白斑等を生じることもあります。

一般に「かぶれ」と呼ばれる日常的に経験する症状ですが、外用薬の副作用で生じることもあります。接触皮膚炎は、いわゆる「肌に合わない」という状態で、外来性の物質が皮膚に接触することで現れる炎症です。同じ医薬品が触れても発症するか否かはその人の体質によって異なります。

原因となる医薬品と接触してから発症するまでの時間は様々ですが、接触皮膚炎は医薬品が触れた皮膚の部分のみに生じ、正常な皮膚との境界がはっきりしているのが特徴です。アレルギー性皮膚炎の場合は、発症部位は医薬品の接触部位に限定されません。

② 対応

症状が現れたときは、重篤な病態への進行を防止するため、原因と考えられる医薬品の使用を中止します。通常は1週間程度で症状は治まりますが、再びその医薬品に触れると再発します。

2. 光線過敏症

① 症状

かぶれ症状は、太陽光線(紫外線)に曝されて初めて起こることもあります(光線過敏症)。その症状は、医薬品が触れた部分だけでなく、全身へ広がって重篤化する場合があり、また、貼付剤の場合は剥がした後でも発症することがあります。

② 対応

光線過敏症が現れた場合は、原因と考えられる医薬品の使用を中止して、皮膚に医薬品が残らないよう十分に患部を洗浄し、遮光(白い生地や薄手の服は紫外線を透過するおそれがあるので不可)して速やかに医師の診療を受ける必要があります。

3. 薬疹

① 症状

医薬品によって引き起こされるアレルギー反応の一種で、発疹・発赤等の皮膚症状を薬疹といいます。あらゆる医薬品で起きる可能性があり、また、同じ医薬品でも生じる発疹の型は人によって様々です。赤い大小の斑点(紅斑)、小さく盛り上がった湿疹(丘疹)のほか、水疱を生じる場合もあります。

蕁麻疹は強い痒みを伴いますが、それ以外では痒みがないか、あったとしてもわずかなことが多いです。

また、薬疹は皮膚以外に、眼の充血や口唇・口腔粘膜に異常がみられることもあります。特に、発熱を伴って眼や口腔粘膜に異常が現れる場合は、急速に皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症等の重篤な病態へ進行することがあるので、厳重な注意が必要です。

② 発症の時期・原因等

薬疹は、医薬品の使用後1〜2週間で起きることが多いですが、長期使用後に生じることもあります。

アレルギー体質の人や、以前に薬疹を起こしたことがある人で生じやすいですが、それまで薬疹を経験したことがない人であっても、暴飲暴食、肉体疲労が誘因となって現れることがあります。

医薬品を使用した後に発疹・発赤等が現れた場合には、まず薬疹の可能性が考慮されるべきです。

③ 対応

重篤な病態への進行を防止するため、原因と考えられる医薬品の使用を直ちに中止します。

痒み等の症状に対して、一般の生活者が自己判断で対症療法を行うことは、原因の特定を困難にするおそれもあり、避けるべきです。

多くの場合、原因となった医薬品の使用を中止すれば、症状は次第に寛解します。ただし、以前に薬疹を経験したことがある人が、再度、同種の医薬品を使用した場合には、ショック(アナフィラキシー)、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症等のより重篤なアレルギー反応を生じるおそれがありますので、同種の医薬品の使用を避けなければなりません。

4. その他(外用薬の適用部位(患部)に生じる副作用)

外用薬の適用部位(患部)に生じる副作用としては、接触皮膚炎等のほかにも、含有する刺激性成分による痛み、焼灼感(ヒリヒリする感じ)、熱感、乾燥感等の刺激感、腫れ等があります。

また、外用薬には、感染を起こしている患部には使用を避けることとされているものがありますが、感染の初期段階では気付かずに使用され、みずむし・たむし等の白癬症、にきび、化膿症状、持続的な刺激感等を起こす場合がありますので注意が必要です。

いずれについても、重篤な病態への進行を防止するため、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、症状によっては医師の診療を受けるなどの対応が必要です。


副作用情報等の収集と報告

登録販売者は、医薬品の副作用等を知った場合において、保健衛生上の危害の発生または拡大を防止するため必要があると認めるときは、その旨を厚生労働大臣に報告しなければなりません(法第68条の10第2項)。

なお、実務上は、決められた形式に従い報告書を、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に提出することとなり、一般用医薬品においても毎年多くの副作用報告がなされています。

このように、市販後においても医薬品の安全性を継続的に確保するため、専門家によって多くの情報が収集され、医薬品の安全性をより高める活動が続けられています。

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