適切な医薬品選択と受診勧奨

2026年8月4日

一般用医薬品で対処可能な症状等の範囲

1. 一般用医薬品の定義

一般用医薬品は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」において「医薬品のうち、その効能及び効果において人体に対する作用が著しくないものであって、薬剤師その他の医薬関係者から提供された情報に基づく需要者の選択により使用されることが目的とされているもの(要指導医薬品を除く。)」と規定されています(法第4条第5項第4号)。

2. 一般用医薬品の役割

一般用医薬品の役割として次の6つがあります。

  1. 軽度な疾病に伴う症状の改善
  2. 生活習慣病等の疾病に伴う症状発現の予防(科学的・合理的に効果が期待できるものに限る。)
  3. 生活の質(QOL:Quality of life の略)の改善・向上
  4. 健康状態の自己検査
  5. 健康の維持増進
  6. その他保健衛生

※生活習慣病については、運動療法および食事療法が基本となる。

一般用医薬品は、医療機関での治療を受けるほどではない体調不良や疾病の初期段階、あるいは日常において、生活者が自らの疾病の治療、予防または生活の質の改善・向上を図ることを目的としています。

3. セルフメディケーションと一般用医薬品の販売等に従事する専門家の役割

近年、急速な高齢化の進展や生活習慣病の増加など疾病構造の変化、生活の質の向上への要請等に伴い、自分自身の健康に対する関心が高い生活者が多くなっています。

そのような中で、専門家による適切なアドバイスの下、身近にある一般用医薬品を利用する「セルフメディケーション」の考え方がみられるようになってきています。

セルフメディケーションの主役は一般の生活者であり、一般用医薬品の販売等に従事する専門家においては、購入者等に対して常に科学的な根拠に基づいた正確な情報提供を行い、セルフメディケーションを適切に支援していくことが期待されています。

したがって、情報提供は必ずしも医薬品の販売に結びつけるのでなく、医療機関の受診を勧めたり(受診勧奨)、医薬品の使用によらない対処を勧めることが適切な場合があることにも留意する必要があります。

4. 一般用医薬品で対処可能な範囲

症状が重いとき(例えば、高熱や激しい腹痛がある場合、患部が広範囲である場合等)に、一般用医薬品を使用することは、一般用医薬品の役割にかんがみて、適切な対処とはいえません。

体調不良や軽度の症状等について一般用医薬品を使用して対処した場合であっても、一定期間もしくは一定回数使用しても症状の改善がみられないまたは悪化したときには、医療機関を受診して医師の診療を受けることが必要とされています。

なお、一般用医薬品で対処可能な範囲は、医薬品を使用する人によって変わってくるものです。

例えば、乳幼児や妊婦等では、通常の成人の場合に比べ、その範囲は限られてくることにも留意する必要があります。

5. 一般用医薬品とドーピング

一般用医薬品の中には、使用すればドーピングに該当する成分を含んだものがあります。そのため、スポーツ競技者から相談があった場合は、専門知識を有する薬剤師などに確認する必要があります。


販売時のコミュニケーション

1. 販売時の姿勢

一般用医薬品では、一般の生活者がその選択や使用を判断する主体となります。登録販売者は、生活者のセルフメディケーションに対して、第二類医薬品および第三類医薬品の販売、情報提供等を担う観点から、支援していくという姿勢で臨むことが基本となります。

2. 情報提供の必要性

医薬品の適正な使用のための必要な情報は、基本的に添付文書や製品表示に記載されています。

それらの記載は一般的・網羅的な内容となっているため、個々の購入者や使用者にとって、どの記載内容が当てはまり、どの注意書きに特に留意すべきなのか等について適切に理解することは必ずしも容易でなく、十分に目を通さずに医薬品が使用されるおそれもあります。

また、購入者等があらかじめ購入する医薬品を決めていることがありますが、この場合、使う人の体質や症状等にあった製品を事前に調べて選択しているのではなく、宣伝広告や販売価格等に基づいて漠然と選択していることも少なくありません。

3. 医薬品の販売等に従事する専門家の対応

医薬品の販売等に従事する専門家においては、購入者等が、自分自身や家族の健康に対する責任感を持ち、適切な医薬品を選択して、適正に使用するよう、働きかけていくことが重要です。

専門家からの情報提供は、単に専門用語を分かりやすい平易な表現で説明するだけでなく、説明した内容が購入者等にどう理解され、行動に反映されているか、などの実情を把握しながら行うことにより、その実効性が高まるものです。

購入者等が適切な医薬品を選択し、実際にその医薬品を使用する人が必要な注意を払って適正に使用していくためには、医薬品の販売等に従事する専門家が、可能な限り、購入者等の個々の状況の把握に努めることが重要です。

一般用医薬品の場合、必ずしも情報提供を受けた当人が医薬品を使用するとは限らないことを踏まえ、販売時のコミュニケーションを考える必要があります。


医薬品の販売等に従事する専門家の医薬品購入者への確認

1. 確認のポイント

医薬品の販売等に従事する専門家が購入者等から確認しておきたい基本的なポイントとしては、次のような事項が挙げられます。

  1. 何のためにその医薬品を購入しようとしているか(購入者等のニーズ、購入の動機)
  2. その医薬品を使用するのは情報提供を受けている当人か、またはその家族等が想定されるか
  3. その医薬品を使用する人として、小児や高齢者、妊婦等が想定されるか
  4. その医薬品を使用する人が医療機関で治療を受けていない
  5. その医薬品を使用する人が過去にアレルギーや医薬品による副作用等の経験があるか
  6. その医薬品を使用する人が相互作用や飲み合わせで問題を生じるおそれのある他の医薬品の使用や食品の摂取をしていないか

さらに、一般用医薬品は、すぐに使用する必要に迫られて購入されるとは限りません。家庭における常備薬として購入されることも多いことから、その販売等に従事する専門家においては、以下の点に関して把握に努めることが望まれます。

  1. その医薬品がすぐに使用される状況にあるか(その医薬品によって対処しようとする症状等が現にあるか)
  2. 症状等がある場合、それはいつ頃からか、その原因や患部等の特定はなされているか

なお、③〜⑤の事項について、第一類医薬品を販売するときは薬剤師が確認しなければならず、第二類医薬品を販売するときは薬剤師または登録販売者が確認するよう努めなければなりません。

また、⑦について、すぐに医薬品を使用する状況にない場合には、購入者等に対して、実際に使用する際に、販売時になされた情報提供の内容を思い起こしながら、改めて添付文書等に目を通すよう促すことが重要となります。

2. コミュニケーションの雰囲気づくり

購入者側の状況を把握するには、医薬品の販売等に従事する専門家から購入者等に尋ねることが少なくありませんが、会話しやすい雰囲気づくりに努め、購入者等が健康への高い関心を有する生活者として参加意識を持って、医薬品を使用する状況等について自らの意志で伝えてもらえるよう促していくことが重要です。

しかし、購入者自身、何を期待して医薬品を購入するのか漠然としている場合もあり、また、購入者側に情報提供を受けようとする意識が乏しく、コミュニケーションが成立しがたい場合もあります。

医薬品の販売等に従事する専門家は、そうした場合であっても、購入者側から医薬品の使用状況に係る情報をできる限り引き出し、可能な情報提供を行っていくためのコミュニケーション技術を身につけるべきです。

3. コミュニケーションの技術例

例えば、情報提供を受ける購入者等が医薬品を使用する本人で、かつ、現に症状等がある場合には、言葉によるコミュニケーションから得られる情報のほか、その人の状態や様子全般から得られる情報も、状況把握につながる重要な手がかりとなります。

また、購入者等が医薬品を使用する状況は随時変化する可能性があるため、販売数量は一時期に使用する必要量とする等、販売時のコミュニケーションの機会が継続的に確保されるよう配慮することも重要です。

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