製品表示の読み方
1. 製品表示の読み方
(1) 容器・外箱等への記載事項
医薬品の製品表示として、毒薬もしくは劇薬または要指導医薬品に該当する医薬品における表示や、その一般用医薬品が分類されたリスク区分を示す識別表示等の法定表示事項が記載されています。
(2) 添付文書等への記載事項
医薬品の製品表示として、購入者等における医薬品の適切な選択や、適正な使用に資する様々な情報も記載されています。
医薬品によっては、法第52条第2項の規定に基づく「用法、用量その他使用および取扱い上必要な注意」等の記載を、添付文書の形でなく、外箱等に行っている場合があります。
また、添付文書は通常、外箱等に封入されていることから、購入者等が購入後に製品を開封して添付文書を見て初めて、自分(または家族)にとって適当な製品でなかったことが分かるといった事態等を防ぐため、医薬品の適切な選択に資する事項として、添付文書の内容のうち、効能・効果、用法・用量、添加物として配合されている成分等が外箱等にも記載されています。
このほか、添付文書に記載されている「使用上の注意」のうち、以下の事項が外箱等にも記載されています。
① 副作用や事故等の危険性を回避するための事項
使用上の注意「してはいけないこと」の項において、「次の人は使用(服用)しないこと」「次の部位には使用しないこと」「授乳中は本剤を服用しないか本剤を服用する場合は授乳を避けること」「服用後、乗物または機械類の運転操作をしないこと」等、副作用や事故等が起きる危険性を回避するための内容が記載されています。
また、内服液剤では、有効成分としてでなく、生薬成分の抽出や有効成分の溶解補助のためアルコールが含有されており、そうしたアルコールの低減・除去は製剤技術的に困難な場合があります。これに関連して、1回服用量中0.1mLを超えるアルコールを含有する内服液剤(滋養強壮を目的とするもの)については、例えば「アルコール含有○○mL以下」のように、アルコールを含有する旨およびその分量が記載されています。
② 「使用にあたって添付文書をよく読むこと」等、添付文書の必読に関する事項
包装中に封入されている医薬品(内袋〈例:1回用量の散剤を包んでいる薬包紙〉を含む)だけが取り出され、添付文書が読まれないといったことのないように記載されています。
③ 専門家への相談勧奨に関する事項
症状、体質、年齢等からみて、副作用による危険性が高い場合もしくは医師または歯科医師の治療を受けている人であって、一般使用者の判断のみで使用することが不適当な場合について記載されています。
記載スペースが狭い場合には、「使用が適さない場合があるので、使用前には必ず医師、歯科医師、薬剤師または登録販売者に相談してください」等と記載されています。
④ 「保管および取扱い上の注意」の項のうち、医薬品の保管に関する事項
- (a) 保管に関する一般的な注意事項 購入者によっては、購入後すぐ開封せずにそのまま保管する場合や持ち歩く場合があるため、添付文書を見なくても適切な保管がなされるよう、その容器や包装にも、保管に関する注意事項が記載されています。
- (b) 使用期限 使用期限の表示については、適切な保存条件の下で製造後3年を超えて性状および品質が安定であることが確認されている医薬品において法的な表示義務はありませんが、流通管理等の便宜上、外箱等に記載されるのが通常です。なお、配置販売される医薬品では、「使用期限」ではなく、「配置期限」と記載されている場合があります。 表示された「使用期限」は、未開封状態で保管された場合に品質が保持される期限であり、いったん開封されたものについては記載されている期日まで品質が保証されない場合があります。 したがって、購入後、開封されてからどの程度の期間品質が保持されるかについては、医薬品それぞれの包装形態や個々の使用状況、保管状況等によるので、購入者等から質問等がなされたときには、それらを踏まえて適切な説明がなされる必要があります。
(3) 他の法令に基づく記載事項
他の法令に基づいて製品表示がなされている事項としては、次のようなものがあります。
| 根拠法令 | 内容例 |
|---|---|
| 消防法(危険物に該当する製品:可燃性ガスを噴射剤としているエアゾール製品や消毒用アルコール等) | 「火気厳禁」等 |
| 高圧ガス保安法(エアゾール製品) | 「高温に注意」、使用ガスの名称等 |
| 資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号) | 容器包装の識別表示(識別マーク) |
2. 安全性情報など、その他の情報
医薬品の製造販売業者等は、医薬品の有効性および安全性に関する事項その他医薬品の適正な使用のために必要な情報を収集し、検討するとともに、薬局開設者、店舗販売業者、配置販売業者およびそこに従事する薬剤師や登録販売者に対して、提供するよう努めなければなりません。また、製造販売業者等による情報提供がなされる場合であっても、広範囲の医薬関係者へ速やかに伝達される必要があるときには、関係機関・関係団体の協力および行政庁の関与の下、当該情報の周知が図られています。
(1) 緊急安全性情報
医薬品、医療機器または再生医療等製品について緊急かつ重大な注意喚起や使用制限に係る対策が必要な状況にある場合に、厚生労働省からの命令、指示、製造販売業者の自主決定等に基づいて作成されます。
製造販売業者および行政当局による報道発表、(独)医薬品医療機器総合機構(総合機構、PMDA)による医薬品医療機器情報配信サービスによる配信(PMDAメディナビ)、製造販売業者から医療機関や薬局等への直接配布、ダイレクトメール、ファクシミリ、電子メール等による情報提供(1ヶ月以内)等により情報伝達されるものです。
A4サイズの黄色地の印刷物で、イエローレターとも呼ばれます。
医療用医薬品や医家向け医療機器についての情報伝達である場合が多いのですが、小柴胡湯による間質性肺炎に関する緊急安全性情報(平成8年3月)のように、一般用医薬品にも関係する緊急安全性情報が発出されたこともあります。
(2) 安全性速報
医薬品、医療機器または再生医療等製品について一般的な使用上の注意の改訂情報よりも迅速な注意喚起や適正使用のための対応の注意喚起が必要な状況にある場合に、厚生労働省からの命令、指示、製造販売業者の自主決定等に基づいて作成されます。
総合機構による医薬品医療機器情報配信サービスによる配信(PMDAメディナビ)、製造販売業者から医療機関や薬局等への直接配布、ダイレクトメール、ファクシミリ、電子メール等による情報提供(1ヶ月以内)等により情報伝達されるものです。
A4サイズの青色地の印刷物で、ブルーレターとも呼ばれます。
(3) 医薬品・医療機器等安全性情報
厚生労働省においては、医薬品(一般用医薬品を含む)、医療機器等による重要な副作用、不具合等に関する情報をとりまとめ、「医薬品・医療機器等安全性情報」として、広く医薬関係者向けに情報提供を行っています。
その内容としては、医薬品の安全性に関する解説記事や、使用上の注意の改訂内容、主な対象品目、参考文献(重要な副作用等に関する改訂については、その根拠となった症例の概要も紹介)等が掲載されています。
医薬品・医療機器等安全性情報は、各都道府県、保健所設置市および特別区、関係学会等への冊子の送付がなされているほか、厚生労働省ホームページおよび総合機構ホームページへ掲載されるとともに、医学・薬学関係の専門誌等にも転載されます。
(4) 総合機構ホームページ
① 掲載内容
総合機構のホームページには、添付文書情報、厚生労働省より発行される「医薬品・医療機器等安全性情報」のほか、要指導医薬品および一般用医薬品に関連した以下のような情報が掲載されています。
- 厚生労働省が製造販売業者等に指示した緊急安全性情報、「使用上の注意」の改訂情報
- 製造販売業者等や医療機関等から報告された、医薬品による副作用が疑われる症例情報
- 医薬品の承認情報
- 医薬品等の製品回収に関する情報
- 一般用医薬品・要指導医薬品の添付文書情報
- 患者向医薬品ガイド
- その他、厚生労働省が医薬品等の安全性について発表した資料
② PMDAメディナビ
総合機構では、医薬品・医療機器の安全性に関する特に重要な情報が発出されたときに、ホームページに掲載するとともに、その情報を電子メールによりタイムリーに配信する医薬品医療機器情報配信サービス(PMDAメディナビ)を行っています。
このサービスは誰でも利用可能であり、最新の情報を入手することができます。
3. 購入者等に対する情報提供への活用
薬局開設者、店舗販売業者、配置販売業者および医薬品の販売に従事する薬剤師や登録販売者においては、医薬品の適正な使用を確保するため、相互の密接な連携の下に、製造販売業者等から提供される情報の活用その他必要な情報の収集、検討および利用を行うことに努めなければならないとされています。
(1) 添付文書情報の活用
① 添付文書情報の電子化
令和3年8月1日から、医療用医薬品への紙の添付文書の同梱が廃止され、その注意事項等情報が電子的な方法により提供されることになりました。
具体的には医療用医薬品の容器また被包には、その注意事項等情報を入手するために必要な符号(バーコードまたは二次元コード)を記載することが求められており、この符号をスマートフォン等のアプリケーションで読み取ることにより、総合機構ホームページで公表されている最新の添付文書等の情報にアクセスすることが可能になっています。
一方で、一般用医薬品等(一般用医薬品、要指導医薬品、薬局製造販売医薬品)の消費者が直接購入する製品では、その使用時に添付文書情報の内容を直ちに確認できる状態を確保する必要があるため、引き続き紙の添付文書が同梱されています。
② 医薬品の販売等に従事する専門家が行う対応
- (a) 医薬品の販売等に従事する専門家においては、総合機構ホームページに掲載されている最新の添付文書情報等から、医薬品の適切な選択、適正な使用が図られるよう、購入者等に対して情報提供を行うことが可能です。
- (b) 一般的には、「してはいけないこと」の項に記載された内容のうち、その医薬品を実際に使用する人(購入者本人とは限らない)に当てはまると思われる事項や、「相談すること」の項に記載された内容のうち、その医薬品を実際に使用する人における副作用の回避、早期発見につながる事項等が、積極的な情報提供のポイントとなります。また、購入者等が抱く疑問等に対する答えは添付文書に記載されていることも多く、そうした相談への対応においても、添付文書情報は有用です。
- (c) 購入者等への情報提供の実効性を高める観点からも、購入後、その医薬品を使い終わるまで、添付文書等は必要なときいつでも取り出して読むことができるよう大切に保存する必要性につき説明がなされることも重要です。
(2) 製品表示情報の活用
添付文書情報が事前に閲覧できる環境が整っていない場合にあっては、製品表示から読み取れる適正使用情報が有効に活用され、購入者等に対して適切な情報提供がなされることが一層重要です。
① 要指導医薬品、第一類医薬品、第二類医薬品
要指導医薬品並びに一般用医薬品のリスク区分のうち第一類医薬品および第二類医薬品は、その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがあるものです。
これらリスク区分に分類されている旨が製品表示から容易に判別できることによって、副作用等の回避、早期発見のため必要な注意事項に自ずと関心が向けられ、積極的な情報提供を行う側も受ける側も、その意義や必要性について認識することができます。
② 第三類医薬品
第三類医薬品に分類された医薬品については、その製品が医薬品であることが製品表示から明確となることにより、その本質として、適正に使用された場合であっても身体の変調・不調が起こり得ることや、添付文書を必ず読む意義、用法・用量等を守って適正に使用する必要性等について、その医薬品を購入し、または使用する一般の生活者に認識できます。
また、添付文書に「使用上の注意」として記載される内容は、その医薬品に配合されている成分等に由来することも多く、使用上の注意の内容について、配合成分等の記載からある程度読み取ることでも可能です。
(3) その他の適正使用情報の活用
- 添付文書や外箱表示は、それらの記載内容が改訂された場合、実際にそれが反映された製品が流通し、購入者等の目に触れるようになるまでには一定の期間を要します。また、健康に対する一般の生活者の意識・関心の高まりに伴って、医薬品の有効性や安全性等に関する情報に対するニーズが多様化・高度化する傾向にあります。
- 医薬品の販売等に従事する専門家においては、購入者等に対して、常に最新の知見に基づいた適切な情報提供を行うため、得られる情報を積極的に収集し、専門家としての資質向上に努めることが求められます。
- 情報通信技術の発展・普及に伴って、一般の生活者においても、医薬品の有効性、安全性等に関して速やかな情報入手のほか、相当程度専門的な情報にも容易にアクセスできる状況となっています。販売時に専門家から説明された内容について、購入者側において検証することも可能であり、不十分な情報や理解に基づいて情報提供が行われた場合には、医薬品の販売等に従事する専門家としての信用・信頼が損なわれることにつながりかねません。
- 一般の生活者が接する医薬品の有効性や安全性等に関する情報は、断片的かつ必ずしも正確でない情報として伝わっている場合も多く、医薬品の販売等に従事する専門家においては、購入者等に対して科学的な根拠に基づいた正確なアドバイスを与え、セルフメディケーションを適切に支援することが期待されています。
各種安全性情報の比較
| 情報の種類 | 発出条件 | 色・呼称 | 主な情報伝達手段 |
|---|---|---|---|
| 緊急安全性情報 | 緊急かつ重大な注意喚起・使用制限が必要な状況 | 黄色地(A4サイズ)/イエローレター | 報道発表、PMDAメディナビ、医療機関等への直接配布・DM・FAX・メール等(1ヶ月以内) |
| 安全性速報 | 使用上の注意の改訂情報より迅速な注意喚起が必要な状況 | 青色地(A4サイズ)/ブルーレター | PMDAメディナビ、医療機関等への直接配布・DM・FAX・メール等(1ヶ月以内) |
| 医薬品・医療機器等安全性情報 | 重要な副作用・不具合等の情報を定期的にとりまとめ | ― | 冊子送付、厚生労働省・総合機構ホームページ掲載、専門誌への転載 |