高コレステロール改善薬

2026年7月28日

コレステロール

1. 概要

コレステロールは細胞の構成成分であるとともに、胆汁酸や副腎皮質ホルモン等の生理活性物質の産生に重要な物質でもある等、生体に不可欠な物質です。コレステロールの産生および代謝は、主として肝臓で行われます。

リポタンパク質

コレステロールは水に溶けにくい物質であるため、血液中では血漿タンパク質と結合したリポタンパク質となって存在します。リポタンパク質は比重によっていくつかの種類に分類されますが、そのうち**低密度リポタンパク質(LDL)**はコレステロールを肝臓から末梢組織へと運ぶリポタンパク質です。

一方、高密度リポタンパク質(HDL)は、末梢組織のコレステロールを取り込んで肝臓へと運ぶリポタンパク質です。このため、LDLコレステロールを”悪玉コレステロール”、HDLコレステロールを**”善玉コレステロール”**と呼ぶことがあります。


2. コレステロールと生活習慣病

LDLとHDLという2種類のリポタンパク質によって、肝臓と末梢組織の間をコレステロールが行き来していますが、血液中のLDLが多く、HDLが少ないと、コレステロールの運搬が末梢組織側に偏ってその蓄積を招き、心臓病や肥満、動脈硬化症等の生活習慣病につながる危険性が高くなります。

血漿中のリポタンパク質のバランスの乱れは、生活習慣病を生じる以前の段階では自覚症状を伴うものでないため、自分で気付いて医療機関の受診がなされるよりもむしろ、偶然または生活習慣病を生じて指摘されることが多いものです。

医療機関で測定する検査値として、以下のいずれかである状態を脂質異常症といいます。

項目基準値
LDL140mg/dL以上
HDL40mg/dL未満
中性脂肪150mg/dL以上

3. 高コレステロール改善薬

高コレステロール改善薬は、血中コレステロール異常の改善、血中コレステロール異常に伴う末梢血行障害(手足の冷え、しびれ)の緩和等を目的として使用される医薬品です。

末梢組織へのコレステロールの吸収を抑えたり、肝臓におけるコレステロールの代謝を促す等により、血中コレステロール異常の改善を促すとされる成分(高コレステロール改善成分)を主体として配合されます。

高コレステロール改善成分

以下のような成分が用いられます。

  • 大豆油不けん化物(ソイステロール)
  • リノール酸を含む植物油
  • ポリエンホスファチジルコリン(大豆から抽出・精製したレシチンの一種)
  • パンテチン 等

※悪心(吐きけ)、胃部不快感、胸やけ、下痢等の消化器系の副作用が現れることがあります。

成分作用
大豆油不けん化物(ソイステロール)腸管におけるコレステロールの吸収を抑える働きがあるとされます。
リノール酸、ポリエンホスファチジルコリンコレステロールと結合して、代謝されやすいコレステロールエステルを形成するとされ、肝臓におけるコレステロールの代謝を促す効果を期待して用いられます。
パンテチンLDL等の異化排泄(LDL中のコレステロールを肝臓で胆汁酸に代謝〈異化〉し、胆汁中に排泄すること)を促進し、リポタンパクリパーゼ活性を高めて、HDL産生を高める作用があるとされています。

高コレステロール改善成分以外の成分

成分作用
ビタミンB2(リボフラビン酪酸エステル等)血漿中に過剰に存在するコレステロールは、過酸化脂質となって種々の障害の原因となることが知られています。リボフラビンは、酵素により、フラビンモノヌクレオチド(FMN)、さらにフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)へと活性化され、フラビン酵素の補酵素として細胞内の酸化還元系やミトコンドリアにおける電子伝達系に働き、糖質、脂質の生体内代謝に広く関与します。コレステロールの生合成抑制と排泄異化促進作用、中性脂肪抑制作用、過酸化脂質分解作用を有するといわれています。リボフラビンの摂取によって尿が黄色くなることがありますが、これは使用の中止を要する副作用等の異常ではありません。
ビタミンE(トコフェロール酢酸エステル)ビタミンEは、コレステロールからの過酸化脂質の生成を抑えるほか、末梢血管における血行を促進する作用があるとされ、血中コレステロール異常に伴う末梢血行障害(手足の冷え、しびれ)の緩和等を目的として用いられます。同様の作用を期待して、ガンマオリザノールが配合されている場合もあります。

4. 生活習慣改善へのアドバイス

コレステロールは、食事から摂取された糖および脂質から主に産生されます。

したがって、糖質や脂質を多く含む食品の過度の摂取を控える、日常生活に適度な運動を取り入れる等、生活習慣の改善が図られることが重要であり、高コレステロール改善薬の使用による対処は、食事療法・運動療法の補助的な位置づけです。

目安としてウエスト周囲径(腹囲)が、男性なら85cm、女性なら90cm以上である場合には生活習慣病を生じるリスクが高まるとされており、いわゆるメタボリックシンドローム(高血圧、高血糖、脂質代謝異常が内臓肥満に組み合わさって、心臓病や脳卒中などになりやすい病態)の予防では、血中コレステロール値に留意することが重要です。

高コレステロール改善薬は、結果的に生活習慣病の予防につながるものですが、ウエスト周囲径(腹囲)を減少させるなどの痩身効果を目的とする医薬品ではありません。医薬品の販売等に従事する専門家においては、購入者等に対してその旨を説明する等、正しい理解を促すことが重要です。


5. 受診勧奨等

生活習慣の改善を図りつつ、しばらくの間(1〜3ヶ月)、高コレステロール改善薬の使用を続けてもなお、検査値に改善がみられない時には、遺伝的または内分泌的要因も疑われるため、いったん使用を中止して医師の診療を受けるなどの対応が必要です。

このような場合、医薬品の販売等に従事する専門家においては、購入者等に対して、高コレステロール改善薬の使用を漫然と継続せずに医療機関を受診するよう促すべきです。

【遺伝的・内分泌的要因】 代謝酵素、受容体やアポタンパク質(リポタンパク質から脂質を除いたもの)の遺伝子異常による家族性の原因および糖尿病、腎疾患、甲状腺疾患など他の疾患によって生じる続発性のものである可能性があります。

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