かぜ薬2

2026年7月29日

1. 抗炎症成分

抗炎症成分は、炎症による腫れを和らげる成分。

鼻粘膜や喉の炎症による腫れを和らげることを目的として、トラネキサム酸、グリチルリチン酸二カリウム等が配合されている場合がある。

1-1. トラネキサム酸

① 作用

体内での起炎物質の産生を抑えることで炎症の発生を抑え、腫れを和らげる。

② 留意事項

凝固した血液を溶解されにくくする働きもあるため、血栓のある人(脳血栓、心筋梗塞、血栓性静脈炎等)、血栓を起こすおそれのある人に使用する場合は、治療を行っている医師または処方薬の調剤を行った薬剤師に相談するなどの対応が必要。

1-2. グリチルリチン酸二カリウム

① 作用

グリチルリチン酸二カリウムの作用本体であるグリチルリチン酸は、化学構造がステロイド性抗炎症成分に類似していることから、抗炎症作用を示すと考えられている。

② 留意事項

  • グリチルリチン酸を大量に摂取すると、偽アルドステロン症を生じるおそれがある
  • 高齢者、むくみのある人、心臓病、腎臓病または高血圧の診断を受けた人では、偽アルドステロン症を生じるリスクが高いとされる
  • それらの人に1日最大服用量がグリチルリチン酸として40mg以上となる製品を使用する場合は、治療を行っている医師または処方薬の調剤を行った薬剤師に相談する等、使用する前にその適否を十分考慮するとともに、偽アルドステロン症の初期症状に常に留意する等、慎重に使用する必要がある
  • どのような人が対象であっても、1日最大服用量がグリチルリチン酸として40mg以上となる製品は、長期連用を避けることとされている

長期連用の回避 かぜ薬、解熱鎮痛薬、アレルギー用薬(鼻炎用内服薬を含む)等では、グリチルリチン酸二カリウム等のグリチルリチン酸を含む成分が配合されているか否かによらず、長期連用は避けることとされている。

③ 医薬品の販売等に従事する専門家の対応

  • 医薬品ではグリチルリチン酸としての1日摂取量が200mgを超えないように用量が定められている
  • しかし、かぜ薬以外の医薬品にも配合されていることが少なくなく、また、グリチルリチン酸二カリウムは甘味料として一般食品や医薬部外品などにも広く用いられている
  • そのため、医薬品の販売等に従事する専門家においては、購入者等に対して、グリチルリチン酸の摂取量が継続して過剰にならないよう注意を促すことが必要
  • なお、グリチルリチン酸を含む生薬成分としてカンゾウが配合されている場合もある

1-3. その他

  • 発汗、抗炎症等の作用を目的として、カミツレ等の生薬成分が配合されている場合がある
  • また、アズレンスルホン酸ナトリウム(カミツレの成分であるアズレンを水溶性にしたもの)が用いられる場合もある

2. 漢方処方成分等

かぜ薬に一成分として配合されるもの(漢方処方成分)、単独でかぜの症状緩和に用いられるもの(漢方処方製剤)として、以下がある。

  • 葛根湯
  • 麻黄湯
  • 小柴胡湯
  • 柴胡桂枝湯
  • 小青竜湯
  • 桂枝湯
  • 香蘇散
  • 半夏厚朴湯
  • 麦門冬湯

留意点

  • かぜの症状の緩和以外にも用いられる漢方処方製剤(小柴胡湯、柴胡桂枝湯、小青竜湯、麦門冬湯)では、比較的長期間(1ヶ月位)服用されることがある
  • かぜの症状緩和に用いられる漢方処方製剤のうち、半夏厚朴湯を除くいずれも、構成生薬としてカンゾウを含む
  • また、葛根湯、麻黄湯、小青竜湯にはマオウも含まれる

漢方処方製剤の種類と概要

葛根湯

  • 体力中等度以上のものの感冒の初期(汗をかいていないもの)、鼻かぜ、鼻炎、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛みに適すとされる
  • 体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人では、悪心、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる
  • まれに重篤な副作用として肝機能障害、偽アルドステロン症を生じることが知られている
  • 構成生薬としてカンゾウ、マオウを含む

麻黄湯

  • 体力充実して、かぜのひきはじめで、寒気がして発熱、頭痛があり、咳が出て身体のふしぶしが痛く汗が出ていないものの感冒、鼻かぜ、気管支炎、鼻づまりに適すとされる
  • 胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人では、悪心、胃部不快感、発汗過多、全身脱力感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる
  • 漢方処方製剤としての麻黄湯では、マオウの含有量が多くなるため、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)は使用を避ける必要がある
  • 構成生薬としてカンゾウ、マオウを含む

小柴胡湯

  • 体力中等度で、ときに脇腹(腹)からみぞおちあたりにかけて苦しく、食欲不振や口の苦味があり、舌に白苔がつくものの食欲不振、吐きけ、胃炎、胃痛、胃腸虚弱、疲労感、かぜの後期の諸症状に適すとされる。また、胃腸虚弱、胃炎のような消化器症状にも用いられる
  • 体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)には不向きとされる
  • まれに重篤な副作用として間質性肺炎、肝機能障害を生じることが知られており、その他の副作用として、膀胱炎様症状(頻尿、排尿痛、血尿、残尿感)が現れることもある
  • インターフェロン製剤(ウイルス性肝炎の治療などのため、医療機関で施用される医療用医薬品の注射薬)で治療を受けている人では、間質性肺炎の副作用が現れるおそれが高まるため、使用を避ける必要がある
  • 肝臓病自体が、間質性肺炎を起こす要因の一つとされており、肝臓病の診断を受けた人では、治療を行っている医師または処方薬の調剤を行った薬剤師に相談するなどの対応が必要
  • 構成生薬としてカンゾウを含む

柴胡桂枝湯

  • 体力中等度またはやや虚弱で、多くは腹痛を伴い、ときに微熱・寒気・頭痛・吐きけなどのあるものの胃腸炎、かぜの中期から後期の症状に適すとされる
  • まれに重篤な副作用として間質性肺炎、肝機能障害を生じることが知られている
  • その他の副作用として、膀胱炎様症状(頻尿、排尿痛、血尿、残尿感)が現れることもある
  • 構成生薬としてカンゾウを含む

小青竜湯

  • 体力中等度またはやや虚弱で、薄い水様の痰を伴う咳や鼻水が出るものの気管支炎、気管支喘息、鼻炎、アレルギー性鼻炎、むくみ、感冒、花粉症に適すとされる
  • 体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人では、悪心、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる
  • まれに重篤な副作用として、肝機能障害、間質性肺炎、偽アルドステロン症を生じることが知られている
  • 構成生薬としてカンゾウ、マオウを含む

桂枝湯

  • 体力虚弱で、汗が出るもののかぜの初期に適すとされる
  • 構成生薬としてカンゾウを含む

香蘇散

  • 体力虚弱で、神経過敏で気分がすぐれず胃腸の弱いもののかぜの初期、血の道症に適すとされる
  • 構成生薬としてカンゾウを含む

3. 鎮静成分

3-1. 作用

解熱鎮痛成分の鎮痛作用を補助することを目的として、ブロモバレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素等の鎮静成分が配合されている場合がある。

3-2. 留意事項

ブロモバレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素には、いずれも依存性があることに留意する必要がある。


4. 制酸成分

4-1. 作用

制酸成分は、胃酸を中和する成分。

解熱鎮痛成分(生薬成分の場合を除く)による胃腸障害の軽減を目的として、ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムゲル等の制酸成分が配合されている場合がある。

4-2. 留意事項

かぜ薬に制酸成分が配合されている場合は、胃腸薬のように、胃腸症状に対する薬効を標榜することは認められていない。


5. カフェイン類

5-1. 作用

解熱鎮痛成分(生薬成分の場合を除く)の配合に伴い、その鎮痛作用を補助する目的で、カフェイン、無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェイン等が配合されている場合がある。

5-2. 留意事項

かぜ薬にカフェイン類が配合されているからといって、必ずしも抗ヒスタミン成分や鎮静成分の作用による眠気が解消されるわけではない。


6. ビタミン成分等

かぜの時に消耗しやすいビタミンまたはビタミン様物質を補給することを目的として、次の成分が配合されている場合がある。

ビタミンまたはビタミン様物質の成分

粘膜の健康維持・回復に重要な成分

成分主な成分名
ビタミンCアスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム等
ビタミンB2リボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム等
ヘスペリジン

疲労回復の作用のある成分

成分主な成分名
ビタミンB1チアミン硝化物、フルスルチアミン塩酸塩、ビスイブチアミン、チアミンジスルフィド、ベンフォチアミン、ビスベンチアミン等
アミノエチルスルホン酸(タウリン)

また、強壮作用等を期待してニンジンやチクセツニンジン等の生薬成分が配合されている場合もある。

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