鼻炎用点鼻薬

2026年7月29日

1. 鼻の症状

1-1. 急性鼻炎

急性鼻炎は、鼻腔内に付着したウイルスや細菌が原因となって生じる鼻粘膜の炎症で、かぜの随伴症状として現れることが多い。

1-2. アレルギー性鼻炎

  • アレルギー性鼻炎は、ハウスダストや花粉等のアレルゲンに対する過敏反応によって引き起こされる鼻粘膜の炎症
  • スギ等の花粉がアレルゲンとなって生じるアレルギー性鼻炎は、一般に「花粉症」と呼ばれる

1-3. 副鼻腔炎

  • 副鼻腔炎は、急性鼻炎・アレルギー性鼻炎のような鼻粘膜の炎症が副鼻腔にも及んだもの
  • 慢性の副鼻腔炎は、一般に「蓄膿症」と呼ばれる

2. 鼻炎用点鼻薬

  • 鼻炎用点鼻薬は、急性鼻炎、アレルギー性鼻炎または副鼻腔炎による諸症状のうち、**鼻づまり、鼻みず(鼻汁過多)、くしゃみ、頭重(頭が重い)**の緩和を目的として、鼻腔内に適用される外用液剤
  • 鼻粘膜の充血を和らげる成分(アドレナリン作動成分)が主体となっており、抗ヒスタミン成分や抗炎症成分を組み合わせて配合されていても、それらは鼻腔内における局所的な作用を目的としている
  • 剤形は、スプレー式で鼻腔内に噴霧するものが多い

スプレー式鼻炎用点鼻薬に関する一般的な注意事項

  • 噴霧後に鼻汁とともに逆流する場合があるため、使用前に鼻をよくかんでおく
  • 使用後には鼻に接した部分を清潔なティッシュペーパー等で拭き、必ずキャップを閉めた状態で保管し清潔に保っておく
  • 汚染を防ぐために容器はなるべく直接鼻に触れないようにする
  • 他人と点鼻薬を共有しないようにする

3. アドレナリン作動成分

3-1. 作用

交感神経系を刺激して鼻粘膜を通っている血管を収縮させることにより、鼻粘膜の充血や腫れを和らげることを目的として、以下の成分が用いられる。

  • ナファゾリン塩酸塩
  • フェニレフリン塩酸塩
  • テトラヒドロゾリン塩酸塩 等

3-2. 留意事項

  • 過度に使用されると鼻粘膜の血管が反応しなくなり、逆に血管が拡張して二次充血を招き、鼻づまり(鼻閉)がひどくなりやすい
  • 点鼻薬は局所(鼻腔内)に適用されるものだが、成分が鼻粘膜を通っている血管から吸収されて循環血液中に入りやすく、全身的な影響を生じることがある

4. 抗ヒスタミン成分

  • アレルギー性鼻炎の発生には、生体内の伝達物質であるヒスタミンが関与している
  • 急性鼻炎の場合も、鼻粘膜が刺激に対して敏感になることから、肥満細胞からヒスタミンが遊離してくしゃみや鼻汁等の症状を生じやすくなる
  • ヒスタミンの働きを抑えることにより、それらの症状が緩和することを目的として、以下の抗ヒスタミン成分が配合されている場合がある
    • クロルフェニラミンマレイン酸塩
    • ケトチフェンフマル酸塩 等

5. 抗アレルギー成分

5-1. 作用

クロモグリク酸ナトリウムは、肥満細胞からヒスタミンの遊離を抑える作用を示し、花粉、ハウスダスト(室内塵)等による鼻アレルギー症状の緩和を目的として、通常、抗ヒスタミン成分と組み合わせて配合される。

5-2. 留意事項

① アレルギー以外の原因による症状

  • アレルギー性でない鼻炎や副鼻腔炎に対しては無効
  • アレルギーによる症状か他の原因による症状かはっきりしない人では、使用する前にその適否につき、専門家に相談する等、慎重な考慮がなされるべき
  • 3日間使用して症状の改善がみられないような場合には、アレルギー以外の原因による可能性が考えられる

② 減感作療法を受けている人

医療機関において減感作療法等のアレルギーの治療を受けている人では、その妨げとなるおそれがあるので、使用前に治療を行っている医師または処方薬の調剤を行った薬剤師に相談がなされるなどの対応が必要。

③ 副作用

  • まれに重篤な副作用として、アナフィラキシーを生じることがある
  • その他の副作用として、鼻出血や頭痛が現れることがある

④ 長期連用

症状の改善がみられた場合であっても、以下の理由から、使用の適否につき専門家に相談しながら慎重な判断がなされるべき。

  • 2週間を超えて使用した場合の有効性、安全性に関する科学的データは限られている
  • 連用に伴って他の配合成分(特にアドレナリン作動成分)による影響が生じることも考えられる
  • 鼻アレルギーの要因に対する改善策(花粉、ハウスダスト等のアレルゲンの除去・回避)を講じることも重要である

6. 局所麻酔成分

鼻粘膜の過敏性や痛み、痒みを抑えることを目的として、リドカイン、リドカイン塩酸塩等の局所麻酔成分が配合されている場合がある。


7. 殺菌消毒成分

7-1. 作用

鼻粘膜を清潔に保ち、細菌による二次感染を防止することを目的として、以下の殺菌消毒成分が配合されている場合がある。

  • ベンザルコニウム塩化物
  • ベンゼトニウム塩化物
  • セチルピリジニウム塩化物

いずれも陽性界面活性成分で、黄色ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌またはカンジダ等の真菌類に対する殺菌消毒作用を示す。

7-2. 留意事項

結核菌やウイルスには効果がない。


8. 抗炎症成分

鼻粘膜の炎症を和らげることを目的として、グリチルリチン酸二カリウムが配合されている場合がある。


9. 相互作用

  • アドレナリン作動成分は、鎮咳去痰薬に気管支拡張成分として配合されているほか、外用痔疾用薬に止血成分として配合されていたり、点眼薬にも結膜の充血を取り除く目的で配合されている場合もある
  • 抗ヒスタミン成分は、かぜ薬の鼻汁止めや睡眠改善薬または乗物酔い防止薬の成分としても配合されている
  • これらの医薬品との併用がなされた場合、同種の作用を有する成分が重複し、効き目が強すぎたり、副作用が現れやすくなるおそれがある

10. 受診勧奨

10-1. 蓄膿症

  • 一般用医薬品の鼻炎用点鼻薬の対応範囲は、急性またはアレルギー性鼻炎およびそれに伴う副鼻腔炎であり、蓄膿症などの慢性のものは対象とされていない
  • 鼻炎用点鼻薬には、それらの症状を緩和する働きはあるが、その原因そのものを取り除くわけではない

10-2. 長期連用

  • アドレナリン作動成分のように、鼻以外の器官や臓器に影響を及ぼすおそれがある成分も配合されていることから、長期連用は避けることとされている
  • 3日位使用しても症状の改善がみられない場合には、漫然と使用を継続せずに医療機関(耳鼻科)を受診するなどの対応が必要

10-3. 中耳炎

かぜ症候群等に伴う鼻炎症状の場合、鼻炎が続くことで副鼻腔炎や中耳炎などにつながることもあるため、そのような症状の徴候に対しても注意を促すとともに、中耳炎が発生した場合などは医療機関を受診するよう勧めるべき。

10-4. 鼻茸

鼻粘膜が腫れてポリープ(鼻茸)となっている場合には、一般用医薬品により対処を図ることは適当でなく、医療機関における治療(ステロイド性抗炎症成分を含む点鼻薬の処方等)が必要になる。

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