うがい薬

2026年8月3日

口腔咽喉薬、うがい薬(含嗽薬)

1. 口腔咽喉薬

口腔咽喉薬は、口腔内または咽頭部の粘膜に局所的に作用して、それらの部位の炎症による痛み、腫れ等の症状の緩和を主たる目的とするものです。

トローチ剤やドロップ剤のほか、口腔内に噴霧または塗布して使用する外用液剤があります。殺菌消毒成分が配合され、口腔および咽頭の殺菌消毒等を目的とする製品もあります。

注意: 鎮咳成分や気管支拡張成分、去痰成分は配合されていません。これらの成分が配合されている場合には、口腔咽喉薬ではなく、鎮咳去痰薬に分類されます。

2. 含嗽薬

含嗽薬は、口腔および咽頭の殺菌消毒洗浄、口臭の除去等を目的として、用時水に希釈または溶解してうがいに用いる、または患部に塗布した後、水でうがいをする外用液剤です。

これらのほか、胸部や喉の部分に適用することにより、有効成分が体温により暖められて揮散し、吸入されることで、鼻づまりやくしゃみ等のかぜに伴う諸症状の緩和を目的とする外用剤(塗り薬または貼り薬)がありますが、現在のところ、医薬品となっている製品はなく、いずれも医薬部外品(鼻づまり改善薬)として製造販売されています。


3. 一般的な注意事項

3-1. 口腔咽喉薬に関するもの

  • トローチ剤やドロップ剤は、有効成分が口腔内や咽頭部に行きわたるよう、口中に含み、噛まずにゆっくり溶かすようにして使用されることが重要です。噛み砕いて飲み込んでしまうと効果は期待できません。
  • 噴射式の液剤では、息を吸いながら噴射すると気管支や肺に入ってしまうおそれがあるため、軽く息を吐きながら噴射することが望ましいとされています。

3-2. 含嗽薬に関するもの

  • 水で用時希釈または溶解して使用するものが多いですが、調製した濃度が濃すぎても薄すぎても効果が十分得られません。
  • 一般的に、薬液を 10~20mL程度 口に含み、顔を上向きにして咽頭の奥まで薬液が行き渡るようにガラガラを繰り返してから吐き出し、それを数回繰り返すのが効果的なうがいの仕方とされています。
  • 含嗽薬の使用後すぐに食事を摂ると、殺菌消毒効果が薄れやすいとされています。

3-3. 口腔咽喉薬と含嗽薬に共通するもの

  • 口腔咽喉薬・含嗽薬は、口腔内や咽頭における局所的な作用を目的とする医薬品です。成分の一部が口腔や咽頭の粘膜から吸収されて循環血流中に入りやすく、全身的な影響を生じることがあるため、配合成分によっては注意を要する場合があります。
  • 特に、口内炎などにより口腔内にひどいただれがある人では、刺激感等が現れやすいほか、循環血流中への移行による全身的な影響も生じやすくなります。

4. 配合成分

一般用医薬品の口腔咽喉薬や含嗽薬には、咽頭部の炎症を和らげ、殺菌消毒成分等を組み合わせて配合されています。

なお、有効成分が生薬成分、グリチルリチン酸二カリウム、セチルピリジニウム塩化物等のみからなる製品で、効能・効果が「喉の炎症による声がれ、喉の荒れ、喉の不快感、喉の痛み、喉の腫れ、口腔内や喉の殺菌・消毒洗浄または口臭の除去」の範囲に限られるものについては、医薬部外品として扱われています。

4-1. 抗炎症成分

声がれ、喉の荒れ、喉の不快感、喉の痛みまたは喉の腫れの症状を鎮めることを目的として、以下の成分が用いられます。

  • グリチルリチン酸二カリウム
  • トラネキサム酸 等

炎症を生じた粘膜組織の修復を促す作用を期待して、アズレンスルホン酸ナトリウム(水溶性アズレン) が配合されている場合もあります。

4-2. 殺菌消毒成分

① 作用

口腔内や喉に付着した細菌等の微生物を死滅させたり、その増殖を抑えることを目的として、以下の成分が用いられます。

  • セチルピリジニウム塩化物
  • デカリニウム塩化物
  • ベンゼトニウム塩化物
  • ポビドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素
  • クロルヘキシジングルコン酸塩、クロルヘキシジン塩酸塩
  • チモール 等

② 留意事項

(a) ショック(アナフィラキシー)

ヨウ素系殺菌消毒成分またはクロルヘキシジングルコン酸塩もしくはクロルヘキシジン塩酸塩が配合されたものでは、まれにショック(アナフィラキシー)のような全身性の重篤な副作用を生じることがあります。これらの成分に対するアレルギーの既往歴がある人では、使用を避ける必要があります。

(b) ヨウ素の影響

  • ヨウ素系殺菌消毒成分が口腔内に使用される場合、結果的にヨウ素の摂取につながり、甲状腺におけるホルモン産生に影響を及ぼす可能性があります。
  • バセドウ病(甲状腺ホルモンの分泌が異常に亢進して、眼球突出、頻脈などの症状が現れる病気)や橋本病(甲状腺ホルモンの分泌が低下して、倦怠感、むくみ、筋力低下などの症状が現れる病気)などの甲状腺疾患の診断を受けた人では、その治療に悪影響(治療薬の効果減弱など)を生じるおそれがあるため、使用する前にその適否につき、治療を行っている医師または処方薬の調剤を行った薬剤師に相談がなされるべきです。
  • 妊娠中に摂取されたヨウ素の一部は血液胎盤関門を通過して胎児に移行するため、長期間にわたって大量に使用された場合には、胎児にヨウ素の過剰摂取による甲状腺機能障害を生じるおそれがあります。
  • また、摂取されたヨウ素の一部が乳汁中に移行することも知られており、母乳を与える女性では、同様に留意される必要があります。
  • このほか、ヨウ素系殺菌消毒成分については、口腔粘膜の荒れ、しみる、灼熱感、悪心(吐きけ)、不快感の副作用が現れることがあります。
  • また、ポビドンヨードが配合された含嗽薬では、その使用によって銀を含有する歯科材料(義歯等)が変色することがあります。

(c) 口腔内に傷やひどいただれのある人

クロルヘキシジングルコン酸塩が配合された含嗽薬については、口腔内に傷やひどいただれのある人では、強い刺激を生じるおそれがあるため、使用を避ける必要があります。

4-3. 局所保護成分

喉の粘膜を刺激から保護する成分として、グリセリンが配合されている場合があります。

日本薬局方収載の複方ヨードグリセリンは、グリセリンにヨウ化カリウム、ヨウ素、ハッカ水、液状フェノール等を加えたもので、喉の患部に塗布して殺菌・消毒に用いられます。

4-4. 抗ヒスタミン成分

咽頭の粘膜に付着したアレルゲンによる喉の不快感等の症状を鎮めることを目的として、口腔咽喉薬にクロルフェニラミンマレイン酸塩のような抗ヒスタミン成分が配合されている場合があります。

  • この場合、鎮咳去痰薬のように、咳に対する薬効を標榜することはできません。
  • 咽頭における局所的な作用を目的として配合されますが、結果的に抗ヒスタミン成分を経口的に摂取することとなり、内服薬と同様な副作用が現れることがあります。

4-5. 生薬成分

生薬基原特徴・作用
ラタニアクラメリア科のクラメリア・トリアンドラおよびその同属植物の根咽頭粘膜をひきしめる(収斂)作用により炎症の寛解を促す効果を期待
ミルラカンラン科のミルラノキ等の植物の皮部の傷口から流出して凝固した樹脂咽頭粘膜をひきしめる(収斂)作用のほか、抗菌作用も期待

その他(精油成分) — 芳香による清涼感等を目的として、以下の生薬から得られた精油成分が配合されている場合があります。

生薬基原
ハッカシソ科のハッカの地上部
ウイキョウセリ科のウイキョウの果実
チョウジフトモモ科のチョウジの蕾
ユーカリフトモモ科のユーカリノキまたはその近縁植物の葉

5. 漢方処方製剤

主として喉の痛み等を鎮めることを目的とし、咳や痰に対する効果を標榜しない漢方処方製剤として、桔梗湯、駆風解毒散、駆風解毒湯、白虎加人参湯、響声破笛丸等があります。

桔梗湯

  • 体力にかかわらず使用でき、喉が腫れて痛み、ときに咳がでるものの扁桃炎、扁桃周囲炎に適すとされる。
  • 胃腸が弱く下痢しやすい人では、食欲不振、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
  • 短期間の使用に限られるものではないが、5~6回服用しても症状の改善がみられない場合には、扁桃炎や扁桃周囲炎から細菌等の二次感染を生じている可能性もあるので(特に、高熱を伴う場合)、漫然と使用を継続せずにいったん使用を中止して、医師の診療を受けるなどの対応が必要である。
  • 構成生薬としてカンゾウを含む。

駆風解毒湯・駆風解毒散

  • 体力にかかわらず使用でき、喉が腫れて痛む扁桃炎、扁桃周囲炎に適すとされる。
  • 体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸が弱く下痢しやすい人では、食欲不振、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
  • 水またはぬるま湯に溶かしてうがいしながら少しずつゆっくり服用するのを特徴とし、駆風解毒湯のトローチ剤もある。
  • 短期間の使用に限られるものではないが、5~6回服用しても症状の改善がみられない場合には、扁桃炎や扁桃周囲炎から細菌等の二次感染を生じている可能性もあるので(特に、高熱を伴う場合)、漫然と使用を継続せずにいったん使用を中止して、医師の診療を受けるなどの対応が必要である。
  • 構成生薬としてカンゾウを含む。

白虎加人参湯

  • 体力中等度以上で、熱感と口渇が強いものの喉の渇き、ほてり、湿疹・皮膚炎、皮膚のかゆみに適すとされる。
  • 体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸虚弱で冷え症の人では、食欲不振、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
  • 比較的長期間(1ヶ月位)服用されることがある。
  • 構成生薬としてカンゾウを含む。

響声破笛丸

  • 体力にかかわらず使用できる。しわがれ声、咽喉不快に適すとされる。
  • 胃腸が弱く下痢しやすい人では、食欲不振、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
  • 短期間の使用に限られるものではないが、漫然と使用を継続することは避け、5~6日間使用して症状の改善がみられない場合には、いったん使用を中止して専門家に相談がなされることが望ましい。
  • 構成生薬としてカンゾウを含む(ダイオウを含む場合もある)。

6. 相互作用、受診勧奨

6-1. 相互作用

ヨウ素は、レモン汁やお茶などに含まれるビタミンC等の成分と反応すると脱色を生じて殺菌作用が失われるため、ヨウ素系殺菌消毒成分が配合された含嗽薬では、そうした食品を摂取した直後の使用や混合は避けることが望ましいとされています。

6-2. 受診勧奨

  • 飲食物を飲み込むときに激しい痛みを感じるような場合には、扁桃蜂巣炎(扁桃の周りの組織が細菌の感染により炎症を起こした状態)や扁桃膿瘍(扁桃の部分に膿が溜まった状態)などを生じている可能性もあり、早期に医師の診療を受けるなどの対応が必要です。
  • 声がれ、喉の荒れ、喉の不快感、喉の痛み等の症状は、かぜの症状の一部として起こることが多く、通常であれば、かぜの寛解とともに治まります。
  • 喉を酷使したりしていないにもかかわらず症状が数週間以上続く場合には、喉頭がん等の重大な疾患が原因となっている可能性もあるので、医師の診療を受けるなどの対応が必要です。

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