内用痔疾用薬、その他の泌尿器用薬

2026年8月3日

内用痔疾用薬

1. 配合成分

① 生薬成分

痔に伴う症状の緩和を目的として、センナ(またはセンノシド)、ダイオウ、カンゾウ、ボタンピ、トウキ、サイコ、オウゴン、セイヨウトチノミ、カイカ、カイカク等の生薬成分が配合されている場合があります。

生薬成分の種類と概要

生薬名基原作用
オウゴンシソ科のコガネバナの周皮を除いた根を基原とする生薬である。主に抗炎症作用を期待して用いられる。
セイヨウトチノミトチノキ科のセイヨウトチノキ(マロニエ)の種子を用いた生薬である。主に抗炎症作用を期待して用いられる。
カイカマメ科のエンジュの蕾を基原とする生薬である。主に止血効果を期待して用いられる。
カイカクマメ科のエンジュの成熟果実を基原とする生薬である。主に止血効果を期待して用いられる。

② 止血成分

カルバゾクロムは、毛細血管を補強、強化して出血を抑える働きがあるとされ、止血効果を期待して配合されている場合があります。

③ ビタミン成分

肛門周囲の末梢血管の血行を促して、うっ血を改善する効果を期待して、ビタミンE(トコフェロール酢酸エステル、トコフェロールコハク酸エステル等)が配合されている場合があります。

④ 漢方処方製剤

乙字湯、芎帰膠艾湯のいずれも比較的長期間(1ヶ月位)服用されることがあります。

漢方処方製剤の種類と概要

乙字湯
  • 体力中等度以上で、大便が硬く、便秘傾向のあるものの痔核(いぼ痔)、切れ痔、便秘、軽度の脱肛に適すとされる。
  • 体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸が弱く下痢しやすい人では、悪心・嘔吐、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
  • まれに重篤な副作用として、肝機能障害、間質性肺炎を生じることが知られている。
  • 短期間の使用に限られるものではないが、切れ痔、便秘に用いる場合には、5〜6日間服用して症状の改善がみられないときは、いったん使用を中止して専門家に相談がなされるなどの対応が必要である。
  • 構成生薬としてカンゾウを含む。通常ダイオウも含む。
芎帰膠艾湯
  • 体力中等度以下で、冷え症で、出血傾向があり胃腸障害のないものの痔出血、貧血、月経異常・月経過多、不正出血、皮下出血に適すとされる。
  • 胃腸が弱く下痢しやすい人では、胃部不快感、腹痛、下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
  • 短期間の使用に限られるものでないが、1週間位服用して症状の改善がみられないときは、いったん使用を中止して専門家に相談がなされるなどの対応が必要である。
  • 構成生薬としてカンゾウを含む。

2. 相互作用

① 外用痔疾用薬

外用痔疾用薬のうち坐剤および注入軟膏については、成分の一部が直腸で吸収されて循環血流中に入り、内服の場合と同様の影響を生じることがあります。

そのため、痔疾用薬の成分と同種の作用を有する成分を含む内服薬や医薬部外品、食品等が併用されると、効き目が強すぎたり、副作用が現れやすくなることがあります。

② 内用痔疾用薬

内用痔疾用薬では生薬成分を主体とした製剤や漢方処方製剤が中心となるので、生薬成分が配合された医薬品における相互作用が生じます。


3. 受診勧奨

一般の生活者においては、痔はその発症部位から恥ずかしい病気として認識されている場合が多く、不確かな情報に基づく誤った対処がなされたり、放置して症状を悪化させてしまうことがあります。

肛門部にはもともと多くの細菌が存在していますが、肛門の括約筋によって外部からの細菌の侵入を防いでおり、血流量も豊富なため、それらの細菌によって感染症を生じることはあまりありません。

しかし、痔の悪化等により細菌感染が起きると、異なる種類の細菌の混合感染が起こり、膿瘍や痔瘻を生じて周囲の組織に重大なダメージをもたらすことがあります。

これらの治療には手術を要することもあり、速やかに医療機関を受診し、専門医の診療を受ける必要があります。

痔の原因となる生活習慣の改善を図るとともに、一定期間、痔疾用薬を使用してもなお、排便時の出血、痛み、肛門周囲の痒み等の症状が続く場合には、肛門がん(肛門周囲に接している皮膚細胞または肛門と直腸の境の粘膜上皮細胞が腫瘍化したもの)などの重大な病気の症状である可能性も考えられ、早期に医療機関を受診して専門医の診療を受けるなどの対応が必要です。



その他の泌尿器用薬

1. 尿路消毒成分

ウワウルシは、利尿作用のほかに、経口的に摂取した後、尿中に排出される分解代謝物が抗菌作用を示し、尿路の殺菌消毒効果を期待して用いられます。

日本薬局方収載のウワウルシは、煎薬として残尿感、排尿に際して不快感のあるものに用いられます。

生薬成分の概要

生薬名基原
ウワウルシツツジ科のクマコケモモの葉を基原とする生薬である。

2. 利尿成分

利尿作用を期待して、以下のような生薬成分が配合されている場合があります。

生薬成分の種類と概要

生薬名基原概要
カゴソウシソ科のウツボグサの花穂を基原とする生薬である。日本薬局方収載のカゴソウは、煎薬として残尿感、排尿に際して不快感のあるものに用いられる。
キササゲノウゼンカズラ科のキササゲ等の果実を基原とする生薬である。日本薬局方収載のキササゲは、煎薬として尿量減少に用いられる。
サンキライユリ科の Smilax glabra Roxburgh の塊茎を基原とする生薬である。日本薬局方収載のサンキライは、煎薬として尿量減少に用いられる。
ソウハクヒクワ科のマグワの根皮を基原とする生薬である。日本薬局方収載のソウハクヒは、煎薬として尿量減少に用いられる。
モクツウアケビ科のアケビまたはミツバアケビの蔓性の茎を、通例、横切りしたものを基原とする生薬である。
ブクリョウサルノコシカケ科のマツホドの菌核で、通例、外層をほとんど除いたものを基原とする生薬である。利尿、健胃、鎮静等の作用を期待して用いられる。

3. 漢方処方製剤

いずれも比較的長期間(1ヶ月位)使用されることがあります。

漢方処方製剤の種類と概要

牛車腎気丸
  • 体力中等度以下で、疲れやすく、四肢が冷えやすく、尿量減少し、むくみがあり、ときに口渇があるものの**下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、痒み、排尿困難、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)**に適すとされる。
  • 胃腸が弱く下痢しやすい人、のぼせが強く赤ら顔で体力の充実している人では、胃部不快感、腹痛、のぼせ、動悸等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
  • まれに重篤な副作用として、肝機能障害、間質性肺炎を生じることが知られている。
八味地黄丸
  • 体力中等度以下で、疲れやすく、四肢が冷えやすく、尿量減少または多尿でときに口渇があるものの下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、痒み、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れに適すとされる。
  • 胃腸の弱い人、下痢しやすい人では、食欲不振、胃部不快感、腹痛、下痢の副作用が現れるおそれがあるため、使用を避ける必要があり、また、のぼせが強く赤ら顔で体力の充実している人では、のぼせ、動悸等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
六味丸
  • 体力中等度以下で、疲れやすく、尿量減少または多尿で、ときに手足のほてり、口渇があるものの排尿困難、残尿感、頻尿、むくみ、痒み、夜尿症、しびれに適すとされる。
  • 胃腸が弱く下痢しやすい人では、胃部不快感、腹痛、下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
猪苓湯
  • 体力にかかわらず使用でき、排尿異常があり、ときに口が渇くものの排尿困難、排尿痛、残尿感、頻尿、むくみに適すとされる。
竜胆瀉肝湯
  • 体力中等度以上で、下腹部に熱感や痛みがあるものの排尿痛、残尿感、尿の濁り、こしけ(おりもの)、頻尿に適すとされる。
  • 胃腸が弱く下痢しやすい人では、胃部不快感、下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
  • 構成生薬としてカンゾウを含む。

4. 受診勧奨

残尿感や尿量減少は一時的な体調不良等によるもののほか、泌尿器系の疾患における自覚症状としても現れます。

例えば、膀胱炎や前立腺肥大などによっても、そうした症状が起こることがありますが、その場合、一般用医薬品によって対処することは適当ではありません。

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