運動器官 皮膚・骨・関節・筋肉

2026年8月3日

外皮系・骨格系・筋組織

身体を覆う皮膚と、汗腺、皮脂腺、乳腺等の皮膚腺、爪や毛等の角質を総称して外皮系といいます。


1. 外皮系

1-1. 皮膚

① 機能

皮膚には、主に次のような機能があります。

機能内容
身体の維持と保護体表面を包み、体の形を維持し、保護する(バリア機能)。また、細菌等の異物の体内への侵入を防ぐ。爪や毛等の角質は皮膚の一部が変化してできたもので、皮膚に強度を与えて体を保護している。
体水分の保持体の水分が体外に蒸発しないよう、または、逆に水分が体内に浸透しないよう遮断している。
熱交換外界と体内の熱のやり取りをする機能で、体温を一定に保つため重要な役割を担っている。体温が上がり始めると、皮膚を通っている毛細血管に血液がより多く流れるように血管が開き、体外へより多くの熱を排出する。汗腺から汗を分泌し、その蒸発時の気化熱を利用して体温を下げる。逆に、体温が下がり始めると血管は収縮して、放熱を抑える。
外界情報の感知触覚、圧覚、痛覚、温度感覚等の皮膚感覚を得る感覚器としての機能も有している。

② 仕組みと働き

  • ヒトの皮膚の表面には常に一定の微生物が付着しており、それらの微生物の存在によって、皮膚の表面での病原菌の繁殖が抑えられ、また、病原菌の体内への侵入が妨げられています。
  • 皮膚の表面に存在する微生物のバランスが崩れたり、皮膚を構成する組織に損傷を生じると、病原菌の繁殖、侵入が起こりやすくなります。
  • 生体は、それらを排除する反応として免疫機能を活性化させ、その結果、皮膚に炎症を生じ、発疹や発赤、痒み等の症状が現れることがあります。
  • 皮膚は、表皮・真皮・皮下組織の3層構造からなります。

③ 表皮と角質層

表皮は、最も外側にある角質層と生きた表皮細胞の層に分けられます。

角質層は、細胞膜が丈夫な線維性のタンパク質(ケラチン)でできた板状の角質細胞と、セラミド(リン脂質の一種)を主成分とする細胞間脂質で構成されており、皮膚のバリア機能を担っています。

皮膚に物理的な刺激が繰り返されると角質層が肥厚して、たこうおのめができます。

④ 表皮とメラニン色素

  • メラニン色素は、表皮の最下層にある**メラニン産生細胞(メラノサイト)**で産生され、太陽光に含まれる紫外線から皮膚組織を防護する役割があります。
  • メラニン色素の防護能力を超える紫外線に曝されると、皮膚組織が損傷を受け、炎症を生じて発熱や水疱、痛み等の症状が起きます。
  • 皮膚の色は、表皮や真皮に沈着したメラニン色素によるものです。メラノサイトが活性化されてメラニン色素の過剰な産生が起こり、シミやそばかすとして沈着します。

⑤ 真皮

真皮は、線維芽細胞とその細胞で産生された線維性のタンパク質(コラーゲン、フィブリリン、エラスチン等)からなる結合組織の層で、皮膚の弾力と強さを与えています。

また、真皮には、毛細血管や知覚神経の末端が通っています。

⑥ 皮下組織

真皮の下には皮下組織があり、脂肪細胞が多く集まって皮下脂肪層となっています。

皮下脂肪層は、外気の熱や寒さから体を守るとともに、衝撃から体を保護するほか、脂質としてエネルギー源を蓄える機能があります。


1-2. 毛

皮膚の付属器として毛があります。

① 毛球、毛乳頭 毛根の最も深い部分を毛球といいます。毛球の下端のへこんでいる部分を毛乳頭といい、毛乳頭には毛細血管が入り込んで、取り巻く毛母細胞に栄養分を運んでいます。

② 毛母細胞 毛母細胞では細胞分裂が盛んに行われ、次々に分裂してできる新しい細胞が押し上げられ、次第に角化して毛を形成します。毛母細胞の間にはメラノサイトが分布し、産生されたメラニン色素が毛母細胞に渡されます。このメラニン色素の量によって毛の色が決まります。

③ 毛包 毛根を鞘状に包んでいる毛包には、立毛筋と皮脂腺がつながっています。

④ 立毛筋 立毛筋は、気温や感情の変化などの刺激により収縮し、毛穴が隆起する立毛反射(いわゆる「鳥肌」)が生じます。

⑤ 皮脂腺 皮脂腺は腺細胞が集まってできており、脂分を蓄えて死んだ腺細胞自身が分泌物(皮脂)となって毛穴から排出されます。皮脂は、皮膚を潤いのある柔軟な状態に保つとともに、外部からの異物に対する保護膜として働きます。皮脂の分泌が低下すると皮膚が乾燥し、皮膚炎や湿疹を起こすことがあります。


1-3. 汗腺

汗腺には次の2種類があります。

  • アポクリン腺(体臭腺) — 腋窩(脇の下)などの毛根部に分布
  • エクリン腺 — 手のひらなど毛根がないところも含め全身に分布

汗はエクリン腺から分泌され、体温調節のための発汗は全身の皮膚に生じます。

一方、精神的緊張による発汗は手のひらや足底、脇の下、顔面などの限られた皮膚に生じ、また、疲労や衰弱したときの睡眠中に生じる発汗も体温調節とは無関係に起こります。

異常なねあせは、漢方では「盗汗」といいます。


2. 骨格系

骨格系は、骨と関節からなり、骨と骨が関節で接合し、相連なって体を支えています。

骨は、体の器官のうち最も硬い組織の一つで、その基本構造は、以下の4組織からなります。

  1. 主部となる骨質
  2. 骨質表面を覆う骨膜
  3. 骨質内部の骨髄
  4. 骨の接合部にある関節軟骨

骨の機能と概要

機能内容
身体各部の支持機能頭部や内臓を支える身体の支柱となる。
臓器保護機能骨格内に臓器を収め、保護する。
運動機能骨格筋の収縮を効果的に体躯の運動に転換する。
造血機能骨髄で産生される造血幹細胞から赤血球、白血球、血小板が分化することにより、体内に供給する。すべての骨の骨髄で造血が行われるわけではなく、主として胸骨、肋骨、脊椎、骨盤、大腿骨などが造血機能を担う。
貯蔵機能カルシウムやリン等の無機質を蓄える。※カルシウムは、生体の生理機能に関与する重要な物質であり、細胞内において微量で筋組織の収縮、神経の伝達調節などに働いている。

2-1. 骨

① 概要 骨は生きた組織であり、成長が停止した後も一生を通じて**破壊(骨吸収)修復(骨形成)**が行われています。

② 仕組みと働き

  • 骨吸収と骨形成とが互いに密接な連絡を保ちながら進行し、これが繰り返されることで骨の新陳代謝が行われます。
  • 骨組織を構成する無機質は、炭酸カルシウムやリン酸カルシウム等の石灰質からなりますが、それらのカルシウムが骨から溶け出し、ほぼ同量のカルシウムが骨に沈着します。
  • 吸収と形成のバランスが取られることにより、一定の骨密度が保たれます。無機質は骨に硬さを与え、有機質(タンパク質および多糖体)は骨の強靭さを保ちます。

2-2. 関節

① 概要 関節とは、広義には骨と骨の連接全般を指しますが、狭義には複数の骨が互いに運動できるように連結したもの(可動関節)をいいます。

② 仕組みと働き

  • 骨の関節面は弾力性に富む柔らかな軟骨層(関節軟骨)に覆われ、これが衝撃を和らげ、関節の動きを滑らかにしています。
  • 関節周囲を包む膜(滑膜)は軟骨の働きを助け、靱帯は骨を連結し、関節部を補強しています。

3. 筋組織

筋組織は、筋細胞(筋線維)とそれらをつなぐ結合組織からなり、その機能や形態によって、骨格筋・平滑筋・心筋に分類されます。

3-1. 骨格筋

  • 筋組織のうち運動器官とされるのは骨格筋であり、関節を動かす骨格筋は、関節を構成する骨にを介してつながっています。
  • 筋組織は筋細胞と結合組織からできているのに対して、腱は結合組織のみでできているため、伸縮性はあまりありません。
  • 骨格筋は、筋線維を顕微鏡で観察すると横縞模様(横紋)が見えるので横紋筋とも呼ばれます。
  • 骨格筋は、収縮力が強く、随意筋(自分の意識どおりに動かすことができる筋組織)で、疲労しやすく、長時間の動作は難しいとされています。
  • 骨格筋の疲労は、運動を続けることでエネルギー源として蓄えられているグリコーゲンが減少し、酸素や栄養分の供給不足が起こるとともに、グリコーゲンの代謝に伴って生成する乳酸が蓄積して、筋組織の収縮性が低下する現象です。

3-2. 平滑筋

平滑筋は、不随意筋(意識的にコントロールできない筋組織)で、筋線維に骨格筋のような横縞模様がなく、消化管壁、血管壁、膀胱等に分布し、比較的弱い力で持続的に収縮する特徴があります。

3-3. 心筋

心筋は不随意筋です。心臓壁にある筋層を構成する筋組織で、不随意筋ですが筋線維には骨格筋のような横縞模様があり、強い収縮力と持久力を兼ね備えています。

3-4. 筋組織の神経支配

筋組織は神経からの指令によって収縮しますが、

  • 随意筋(骨格筋) → 体性神経系(運動神経)で支配
  • 不随意筋(平滑筋および心筋) → 自律神経系に支配

されています。

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