医薬品の効き目や安全性に影響を与える要因3
小児への配慮
1. 新生児・乳児・幼児・小児の年齢区分
おおよその目安として、次の年齢区分が用いられます。
| 区分 | 年齢 |
|---|---|
| 新生児 | 生後4週未満 |
| 乳児 | 生後4週以上、1歳未満 |
| 幼児 | 1歳以上、7歳未満 |
| 小児 | 7歳以上、15歳未満 |
※一般的に15歳未満を「小児」とすることもあり、具体的な年齢が明らかな場合は、医薬品の使用上の注意において、「3歳未満の小児」等と表現されることもある。
2. 小児の特徴
小児は、医薬品を受けつける生理機能が未発達であるため、その使用に際して特に配慮が必要です。
例えば、小児は大人と比べて身体の大きさに対して腸が長く、服用した医薬品の吸収率が相対的に高くなります。また、血液脳関門が未発達であるため、吸収されて循環血液中に移行した医薬品の成分が脳に達しやすいため、中枢神経系に影響を与える医薬品で副作用を起こしやすくなります。
加えて、肝臓や腎臓の機能が未発達であるため、医薬品の成分の代謝・排泄に時間がかかり、作用が強く出過ぎたり、副作用がより強く出ることがあります。
したがって、小児が医薬品を使用する場合においては、保健衛生上のリスク等に関して、成人と別に考える必要があります。
3. 医薬品の販売等に従事する専門家の対応
① 情報収集と提供
医薬品の販売に従事する専門家においては、小児に対して使用した場合に副作用等が発生する危険性が高まり、安全性の観点から小児への使用を避けることとされている医薬品の販売等に際しては、購入者等から状況を聞いて、想定される使用者の把握に努めるなど、積極的な情報収集と、それに基づく情報提供が重要となります。
また、保護者等に対して、成人用の医薬品の量を減らして小児へ与えるような安易な使用は避け、必ず年齢に応じた用法用量が定められているものを使用するよう説明がなされることも重要です。
② 小児、乳幼児の使用に際しての注意
医薬品によっては、形状等が小児向けに作られていないため小児に対して使用しないことなどの注意を促している場合もあります。
例えば、錠剤、カプセル剤等は、小児、特に乳児にそのまま飲み下させることが難しいことが多いので、5歳未満の幼児に使用される錠剤やカプセル剤などの医薬品では、服用時に喉につかえやすいので注意するよう添付文書に記載されています。
医薬品が喉につかえると、大事に至らなくても咳き込んで吐き出し苦しむことになり、その体験から乳幼児に医薬品の服用に対する拒否意識を生じさせることがあります。
③ 乳児への対処
乳児向けの用法用量が設定されている医薬品であっても、乳児は医薬品の影響を受けやすく、また、状態が急変しやすく、一般用医薬品の使用の適否が見極めにくいため、基本的には医師の診療を受けることが優先されます。
一般用医薬品による対処は最小限(夜間等、医師の診療を受けることが困難な場合)にとどめることが望まれます。
④ 保護者等の対応
一般に乳幼児は、容態が変化した場合に、自分の体調を適切に伝えることが難しいため、医薬品を使用した後は、保護者等が乳幼児の状態をよく観察することが重要です。
何か変わった兆候が現れたときには、早めに医療機関に連れて行き、医師の診察を受けさせることが望ましいとされています。
⑤ 乳幼児の誤飲・誤用事故への対応
乳幼児が誤って薬を大量に飲み込んだ、または目に入れてしまったなどの誤飲・誤用事故の場合には、通常の使用状況から著しく異なるため、想定しがたい事態につながるおそれがあります。
このような場合には、一般用医薬品であっても高度に専門的判断が必要となることが多いので、応急処置等について関係機関の専門家に相談し、または様子がおかしいようであれば医療機関に連れて行くなどの対応がなされることが必要です。
小児の誤飲・誤用事故を未然に防止するには、家庭内において、小児が容易に手に取れる場所や、小児の目につく場所に医薬品を置かないようにすることが重要となります。
高齢者への配慮
1. 高齢者の年齢区分
おおよその目安として65歳以上を「高齢者」としています。
2. 高齢者の特徴
一般に高齢者は生理機能が衰えつつあり、特に、肝臓や腎臓の機能が低下していると医薬品の作用が強く現れやすく、若年時と比べ副作用を生じるリスクが高くなります。
しかし、高齢者であっても基礎体力や生理機能の衰えの度合いは個人差が大きく、年齢のみから一概にどの程度リスクが増大しているかを判断することは難しいといえます。
したがって、高齢者が医薬品を使用する場合においては、保健衛生上のリスク等に関して、成人と別に考える必要があります。
3. 医薬品の販売に従事する専門家の対応
一般用医薬品の販売等に際しては、実際にその医薬品を使用する高齢者の個々の状況に即して、適切に情報提供や相談対応がなされることが重要です。
① 嚥下障害・誤嚥
高齢者は、生理機能の衰えのほか、**喉の筋肉が衰えて飲食物を飲み込む力が弱まっている(嚥下障害)**場合があり、内服薬を使用する際に喉に詰まらせやすいとされています。
また、医薬品の副作用で口渇を生じることがあり、その場合、誤嚥(食べ物等が誤って気管に入り込むこと)を誘発しやすくなるので注意が必要です。
② 基礎疾患等
高齢者は、**持病(基礎疾患)**を抱えていることが多く、一般用医薬品の使用によって基礎疾患の症状が悪化したり、治療の妨げとなる場合があります。また、複数の医薬品が長期間にわたって使用される場合には、副作用を生じるリスクも高くなります。
③ その他
前記①および②のほか、高齢者によくみられる傾向として、医薬品の説明を理解するのに時間がかかる場合や、細かい文字が見えづらく、添付文書や製品表示の記載を読み取るのが難しい場合等があり、情報提供や相談対応において特段の配慮が必要となります。
また、高齢者では、手先の衰えのため医薬品を容器や包装から取り出すことが難しい場合や、医薬品の取り違えや飲み忘れを起こしやすいなどの傾向もあり、家族や周囲の人(介護関係者等)の理解や協力も含めて、医薬品の安全使用の観点からの配慮が重要となることがあります。