医薬品を販売するための許可 1
1. 医薬品の販売行為の禁止と許可
(1) 医薬品販売業の許可
医薬品の販売行為の禁止と許可について、次のように規定されています(法第24条第1項)。
薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ、業として、医薬品を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列(配置することを含む。)してはならない。
このように、医薬品を、業として販売、授与または販売もしくは授与の目的での貯蔵、もしくは陳列(以下「販売等」という。)を行うためには、薬局開設の許可または医薬品の販売業の許可を受ける必要があります。
罰則: 法第24条第1項の規定に違反した者については、
「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」
こととされています。
(2) 医薬品の販売行為の禁止の例外
次の場合は、医薬品の販売行為の禁止の例外として、販売業の許可を受けずに医薬品を販売等することができます。
- 医薬品の製造販売業者がその製造等をし、または輸入した医薬品を薬局開設者または医薬品の製造販売業者、製造業者もしくは販売業者に販売等するとき。
- 医薬品の製造業者がその製造した医薬品を医薬品の製造販売業者または製造業者に、販売等するとき。
補足:【製薬企業の販売業の許可】 製薬企業がその製造等した医薬品を、一般の生活者以外の薬局開設者や販売業者または他の製薬企業へ販売等を行う場合にあっては、あらためて販売業の許可を受ける必要はありません。
(3) 医薬品販売業の許可の種類
医薬品の販売業の許可については、次の3種類に分けられています。
| 許可の種類 | 一般の生活者への直接販売 |
|---|---|
| 店舗販売業の許可 | 可能 |
| 配置販売業の許可 | 可能 |
| 卸売販売業の許可 | 不可(薬局・他の販売業・製薬企業・医療機関等が対象) |
この3種類の許可のうち、一般の生活者に対して医薬品を販売等することができるのは、店舗販売業および配置販売業の許可を受けた者だけです。
なお、薬局における医薬品の販売行為は、薬局の業務に付随して行われる行為であるので、医薬品の販売業の許可は必要ありません。
補足:【卸売販売業の許可】 卸売販売業は、医薬品を薬局や他の医薬品の販売業、製薬企業または医療機関等に対して販売等する業態であり、業として一般の生活者に対して直接医薬品の販売等を行うことは認められていません。
(4) 医薬品の販売業の許可の更新
医薬品の販売業の許可は、6年ごとに、その更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失います。
2. 医薬品の販売方法等の制限
医薬品の販売方法等の制限について、次のように規定されています(法第37条第1項)。
薬局開設者又は店舗販売業者は店舗による販売又は授与以外の方法により、配置販売業者は配置以外の方法により、それぞれ医薬品を販売し、授与し、又はその販売若しくは授与の目的で医薬品を貯蔵し、若しくは陳列してはならない。
これは、医薬品は、人の生命や健康に直接または間接的に影響を与える生命関連製品であるため、安全性の見地から露天販売や現金行商等のような、事後において医薬品の購入者等の安全性を確保すること、また、販売側の責任や所在を追及することが困難となる形態での販売または授与を禁止する趣旨(いわゆる「売り逃げ」の防止)によるものです。
罰則: 法第37条第1項の規定に違反した者については、
「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」
とされています。
3. 薬局
(1) 薬局の定義
薬局は、次のように定義されています(法第2条第12項)。
薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務並びに薬剤及び医薬品の適正な使用に必要な情報の提供及び薬学的知見に基づく指導の業務を行う場所(その開設者が併せ行う医薬品の販売業に必要な場所を含む。)
(2) 薬局の業務
薬局では、医薬品の調剤と併せて、店舗により医薬品の販売を行うことが認められています。
なお、調剤を実施する薬局は、医療法により、医療提供施設としても位置づけられています(医療法第1条の2第2項)。
(3) 薬局開設の許可
薬局開設の許可について、次のように定められています(法第4条第1項)。
薬局は、その所在地の都道府県知事(その所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長。)の許可を受けなければ、開設してはならない。
(4) 薬局開設の許可の基準
都道府県知事は、次のいずれかに該当するときは、許可を与えないことができます。
- 調剤や医薬品の販売等を行うために必要な構造設備(構造設備規則第1条)を備えていないとき
- 医薬品の調剤および販売または授与の業務を行う体制(体制省令第1条)が整っていないとき
- 申請者が薬事に関する法令等に違反し一定期間を経過していないときなど
補足:【薬局開設、店舗・配置販売業の許可が与えられない申請者】 申請者が、法第5条第3号イからトまでのいずれかに該当するとき
- イ 第75条第1項の規定により許可を取り消され、取消しの日から3年を経過していない者
- ロ 第75条の2第1項の規定により登録を取り消され、取消しの日から3年を経過していない者
- ハ 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった後、3年を経過していない者
- ニ イからハまでに該当する者を除くほか、この法律、麻薬及び向精神薬取締法、毒物及び劇物取締法その他薬事に関する法令で政令で定めるものまたはこれに基づく処分に違反し、その違反行為があった日から2年を経過していない者
- ホ 麻薬、大麻、あへんまたは覚醒剤の中毒者
- ヘ 心身の障害により当該許可業者の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
- ト 当該許可業者の業務を適切に行うことができる知識および経験を有すると認められない者
(5) 薬局での取扱い品目
薬局では、医療用医薬品の他、要指導医薬品および一般用医薬品を取り扱うことができます。
また、一般用医薬品のうち、第二類医薬品または第三類医薬品に分類されたものの販売等に関しては、薬剤師のほかに、登録販売者が購入者等への情報提供や相談対応を行うこともできます。
(6) 薬局の名称の使用制限
医薬品を取り扱う場所であって、薬局として開設の許可を受けていないものについては、病院または診療所の調剤所を除き、薬局の名称を付してはなりません。
罰則: この規定に違反した者については、
「30万円以下の罰金に処する」
こととされています。
(7) 薬局の管理者
① 薬局の管理
薬局においては、調剤された薬剤や医薬品が保健衛生上遺漏なく販売等されるよう、その業務を適正に運営するための仕組みが設けられています。
- 薬局開設者が自ら薬剤師であるときは、その薬局を実地に管理しなければならない。
- 薬局開設者が自ら管理しない場合には、その薬局で薬事に関する実務に従事する薬剤師のうちから管理者を指定して実地に管理させなければならない。
- 薬局開設者が薬剤師でないときは、その薬局で薬事に関する実務に従事する薬剤師のうちから管理者を指定して実地に管理させなければならない。
なお、薬局の管理者は、薬局に関する必要な業務を遂行し、必要な事項を遵守するために必要な能力および経験を有する者でなければなりません。
② 薬局の管理者の責務
- 薬局の管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないよう、その薬局に勤務するその他の従業者を監督するなど、薬局の業務につき必要な注意をしなければならず、薬局開設者に対して必要な意見を書面により述べなければなりません。
- 薬局開設者は、その管理者の意見を尊重するとともに、法令遵守のために措置を講ずる必要があるときは、当該措置を講じ、かつ、講じた措置の内容(措置を講じない場合にあっては、その旨およびその理由)を記録し、適切に保存しなければなりません。
- また、薬局開設者は、薬局の管理に関する業務その他の薬局開設者の業務を適正に遂行することにより、薬事に関する法令の規定の遵守を確保するために、必要な措置を講じるとともに、その措置の内容を記録し、適切に保存しなければなりません。
このほか、薬局開設者には、薬局医薬品の販売等に関する規制、調剤された薬剤の販売等に関する規制が課せられています。
③ 薬局の管理者の兼務の禁止
薬局の管理者は、その薬局の所在地の都道府県知事の許可を受けた場合を除き、その薬局以外の場所で業として薬局の管理その他薬事に関する実務に従事する者であってはなりません。
(8) 薬局の機能
| 名称 | 機能の概要 | 認定 |
|---|---|---|
| 地域連携薬局 | 他の医療提供施設と連携し、地域における薬剤・医薬品の適正使用の推進および効率的な提供に必要な情報提供・薬学的指導を実施 | 都道府県知事の認定 |
| 専門医療機関連携薬局 | 他の医療提供施設と連携し、薬剤の適正使用の確保のために専門的な薬学的知見に基づく指導を実施(傷病の区分ごと) | 都道府県知事の認定 |
| 健康サポート薬局 | 患者が継続して利用するために必要な機能、および個人の主体的な健康の保持増進への取組を積極的に支援する機能を有する薬局 | 厚生労働大臣が定める基準に適合 |
(9) 薬剤師不在時間
開店時間のうち、当該薬局において調剤に従事する薬剤師が当該薬局以外の場所においてその業務を行うため、やむを得ず、かつ、一時的に当該薬局において薬剤師が不在となる時間を薬剤師不在時間といいます。
例:緊急時の在宅対応や急遽日程の決まった退院時カンファレンスへの参加 など。
一方、学校薬剤師の業務やあらかじめ予定されている定期的な業務によって恒常的に薬剤師が不在となる時間は薬剤師不在時間として認められないため、当該薬局における調剤応需体制を確保する必要があります。
●薬剤師不在時間の薬局開設者の遵守事項
- 薬剤師不在時間内は調剤室を閉鎖すること
- 調剤に従事する薬剤師が不在のため調剤に応じることができない旨等の、薬剤師不在時間に係る掲示事項を当該薬局内の見やすい場所および当該薬局の外側の見やすい場所に掲示すること
- 薬局の管理を行う薬剤師が、薬剤師不在時間内に当該薬局において勤務している従事者と連絡できる体制を備えていること
- 薬剤師不在時間内であっても、登録販売者が販売できる医薬品は、第二類医薬品または第三類医薬品にかぎられていること
- 要指導医薬品陳列区画または第一類医薬品陳列区画を閉鎖すること(ただし、鍵をかけた陳列設備に陳列する場合を除く)
4. 店舗販売業
(1) 店舗販売業の許可
店舗販売業の許可は、要指導医薬品または一般用医薬品を、店舗において販売し、または授与する業務について、店舗ごとに、その店舗の所在地の都道府県知事(その店舗の所在地が保健所を設置する市または特別区の区域にある場合においては、市長または区長。)が与えることとされています。
(2) 店舗販売業の許可の基準
都道府県知事は、次のいずれかに該当するときは、許可を与えないことができます。
- 許可を受けようとする店舗が必要な構造設備(構造設備規則第2条)を備えていないとき
- 適切に医薬品を販売し、または授与するために必要な体制(体制省令第2条)が整っていないとき
- 申請者が薬事に関する法令等に違反し一定期間を経過していないときなど
(3) 店舗販売業での取扱い品目
店舗販売業では、薬剤師が従事していても調剤を行うことはできず、要指導医薬品または一般用医薬品以外の医薬品の販売等は認められていません。
罰則: この規定に違反した者については、
「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」
こととされています。
(4) 販売従事者
店舗販売業の許可を受けた事業者(以下、「店舗販売業者」という。)は、次のとおり販売従事者を配置しなければなりません。
| 医薬品の区分 | 販売・授与できる者 |
|---|---|
| 要指導医薬品 | 薬剤師のみ |
| 第一類医薬品 | 薬剤師のみ |
| 第二類医薬品・第三類医薬品 | 薬剤師または登録販売者 |
このように、要指導医薬品および第一類医薬品は、その店舗において薬剤師がいない場合には、販売または授与を行うことができません。
これに違反した店舗販売業者については、都道府県知事は、その許可を取り消し、または期間を定めてその業務の全部もしくは一部の停止を命ずることができます。
(5) 店舗管理者
① 店舗の管理
店舗販売業においても、薬局と同様、医薬品が保健衛生上遺漏なく販売等されるよう、その業務を適正に運営するための仕組みが設けられています。
店舗販売業者は、その店舗を、自ら実地に管理し、またはその指定する者に実地に管理させなければなりません。
なお、店舗管理者は、店舗に関する必要な業務を遂行し、必要な事項を遵守するために必要な能力および経験を有する者でなければなりません。
② 店舗管理者の有資格者
店舗販売業の店舗を実地に管理する者(店舗管理者)は、店舗の種類に応じ、その店舗において医薬品の販売または授与に従事している薬剤師または登録販売者でなければなりません。
| 店舗の種類 | 店舗管理者 |
|---|---|
| 要指導医薬品または第一類医薬品を販売し、授与する店舗 | 薬剤師 (a)を参照 |
| 第二類医薬品または第三類医薬品を販売し、授与する店舗 | 薬剤師または登録販売者 (b)を参照 |
(a) 第一類医薬品を販売等する店舗の店舗管理者
第一類医薬品を販売し、授与する店舗において薬剤師を店舗管理者とすることができない場合には、過去5年間のうち、次のいずれかにおいて登録販売者として3年以上業務に従事した者であって、その店舗において医薬品の販売または授与に関する業務に従事するものを店舗管理者にすることができます。ただし、この場合には、店舗管理者を補佐する薬剤師を置かなければなりません。
- 要指導医薬品または第一類医薬品を販売し、または授与する薬局
- 薬剤師が店舗管理者である、要指導医薬品または第一類医薬品を販売し、または授与する店舗販売業
- 薬剤師が区域管理者である、第一類医薬品を配置販売する配置販売業
なお、3年以上とは、次のいずれかをいいます。
- 従事期間が月単位で計算して、1か月に80時間以上従事した月が36月以上
- 従事期間が通算して3年以上、かつ、過去5年間において合計2,880時間以上
補足:【店舗管理者の経過措置】 平成29年6月12日から当分の間は、要指導医薬品を販売等する薬局または薬剤師が店舗管理者である要指導医薬品を販売等する店舗販売業において登録販売者として業務に従事した期間と要指導医薬品を販売等する店舗の管理者であった期間の合計が3年以上の者を店舗管理者とすることができます。ただし、この場合にも、店舗管理者を補佐する薬剤師を置かなければなりません。
(b) 第二類医薬品または第三類医薬品を販売等する店舗の店舗管理者
この店舗管理者になることができる登録販売者は、次のいずれかに該当している必要があります。
- 過去5年間のうち、従事期間が通算して2年以上あること
- 過去5年間のうち、従事期間が通算して1年以上あり、かつ、「毎年度受講する必要がある研修」に加えて、「店舗の管理及び法令遵守に関する追加的な研修」を修了していること
- 従事期間が通算して1年以上であり、かつ、過去に店舗管理者または区域管理者としての業務の経験があること
なお、2年以上とは、次のいずれかをいいます。
- 従事期間が月単位で計算して、1か月に80時間以上従事した月が24月以上
- 従事期間が通算して2年以上、かつ、過去5年間において合計1,920時間以上
1年以上とは、次のいずれかをいいます。
- 従事期間が月単位で計算して、1か月に160時間以上従事した月が12月以上
- 従事期間が通算して1年以上あり、かつ、過去5年間において合計1,920時間以上
また、従事期間とは、以下の期間を指します。
- 薬局、店舗販売業または配置販売業において、一般従事者として薬剤師または登録販売者の管理および指導の下に実務に従事した期間
- 登録販売者として業務(店舗管理者または区域管理者としての業務を含む)に従事した期間
③ 店舗管理者の責務
- 店舗管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないよう、その店舗に勤務する他の従業者を監督するなど、その店舗の業務につき、必要な注意をしなければならず、店舗販売業者に対して必要な意見を書面により述べなければなりません。
- 店舗販売業者は、その店舗管理者の意見を尊重するとともに、法令遵守のために措置を講ずる必要があるときは、当該措置を講じ、かつ、講じた措置の内容(措置を講じない場合にあっては、その旨およびその理由)を記録し、適切に保存しなければなりません。
- また、店舗販売業者は、店舗の管理に関する業務その他の店舗販売業者の業務を適正に遂行することにより、薬事に関する法令の規定の遵守を確保するために、必要な措置を講じるとともに、その措置の内容を記録し、適切に保存しなければなりません。
④ 店舗管理者の兼務の禁止
店舗管理者は、その店舗の所在地の都道府県知事の許可を受けた場合を除き、その店舗以外の場所で業として店舗の管理その他薬事に関する実務に従事する者であってはなりません。
(6) 販売方法の制限
(薬局開設者と)店舗販売業者は、店舗による販売または授与以外の方法により医薬品を販売等してはならないため、(薬局開設者と)店舗販売業者が、配置の方法で医薬品を販売等しようとする場合には、別途、配置販売業の許可を受ける必要があります。