医薬品の適正使用情報 1

2026年8月28日

1. 医薬品の適正使用情報

(1) 適正使用情報の重要性

医薬品は、効能・効果、用法・用量、起こり得る副作用等、その適正な使用のために必要な情報(適正使用情報)を伴って初めて医薬品としての機能を発揮するものです。

要指導医薬品または一般用医薬品の場合、その医薬品のリスク区分に応じた販売または授与する者その他の医薬関係者から提供された情報に基づき、一般の生活者が購入し、自己の判断で使用するものであるため、添付文書や製品表示に記載されている適正使用情報は、その適切な選択、適正な使用を図る上で特に重要です。

それらの記載は、一般の生活者に理解しやすい平易な表現でなされていますが、その内容は一般的・網羅的なものとならざるを得ません。

(2) 情報提供の重要性

このため、医薬品の販売等に従事する専門家においては、購入者等への情報提供および相談対応を行う際に、添付文書や製品表示に記載されている内容を的確に理解した上で、その医薬品を購入し、または使用する個々の生活者の状況に応じて、記載されている内容から、積極的な情報提供が必要と思われる事項に焦点を絞り、効果的かつ効率的な説明がなされることが重要です。


2. 添付文書の読み方(概要)

法第52条第2項の規定により、要指導医薬品、一般用医薬品および薬局製造販売医薬品には、それに添付する文書(添付文書)またはその容器もしくは被包に、「用法、用量その他使用および取扱い上の必要な注意」等の記載が義務づけられています。

一般用医薬品の添付文書の記載は、以下の①〜⑫のような構成となっています。

#項目
改訂年月
添付文書の必読および保管に関する事項
販売名、薬効名およびリスク区分(人体に直接使用しない検査薬では「販売名および使用目的」)
製品の特徴
使用上の注意(してはいけないこと、相談すること、その他の注意)
効能または効果(一般用検査薬では「使用目的」)
用法および用量(一般用検査薬では「使用方法」)
成分および分量(一般用検査薬では「キットの内容および成分・分量」)
病気の予防・症状の改善につながる事項(いわゆる「養生訓」)
保管および取扱い上の注意
消費者相談窓口
製造販売業者の名称および所在地

3. 添付文書の読み方(①改訂年月)

一般用医薬品を含めて、医薬品の添付文書の内容は変わるものであり、医薬品の有効性・安全性等に係る新たな知見、使用に係る情報に基づき、必要に応じて随時改訂がなされています。

重要な内容が変更された場合には、改訂年月を記載するとともに改訂された箇所を明示することとされており、以前からその医薬品を使用している人が、添付文書の変更箇所に注意を払うことができるようになっています。


4. 添付文書の読み方(②添付文書の必読および保管に関する事項)

(1) 添付文書の必読

添付文書の販売名の上部に、「使用にあたって、この説明文書を必ず読むこと。また、必要なときに読めるよう大切に保存すること」等の文言が記載されています。

添付文書は開封時に一度目を通されれば十分というものでなく、実際に使用する人やその時の状態等によって留意されるべき事項が異なってきます。そのため、必要なときにいつでも取り出して読むことができるように保管される必要があります。

(2) 購入者以外の者が医薬品を使用する場合

販売時に専門家から直接情報提供を受けた購入者以外の家族等がその医薬品を使用する際には、添付文書に目を通し、使用上の注意等に留意して適正に使用されることが特に重要です。

また、一般用医薬品を使用した人が医療機関を受診する際にも、その添付文書を持参し、医師や薬剤師に見せて相談がなされることが重要です。


5. 添付文書の読み方(③販売名、薬効名およびリスク区分)

通常の医薬品では、承認を受けた販売名が記載されています。

薬効名とは、その医薬品の薬効または性質(例えば、主たる有効成分など)が簡潔な分かりやすい表現で示されたもので、販売名に薬効名が含まれているような場合には(例えば、「○○○胃腸薬」など)、薬効名の記載は省略されることがあります。また、各製品のリスク区分が記載されています。

「販売名、薬効名およびリスク区分」は、人体に直接使用しない検査薬(一般用検査薬)では、「販売名および使用目的」と記載されます。


6. 添付文書の読み方(④製品の特徴)

医薬品を使用する人に、その製品の概要を分かりやすく説明することを目的として記載されています(概要を知るために必要な内容を簡潔に記載)。


7. 添付文書の読み方(⑤使用上の注意)

「使用上の注意」は、「してはいけないこと」「相談すること」および「その他の注意」から構成され、適正使用のために重要と考えられる項目が前段に記載されています。枠囲い、文字の色やポイントを変えるなど他の記載事項と比べて目立つように記載されています。また、「使用上の注意」「してはいけないこと」および「相談すること」の各項目の見出しには、多くの場合、それぞれ例示された標識的マークが付されています。

(1) してはいけないこと

守らないと症状が悪化する事項、副作用または事故等が起こりやすくなる事項について記載されています。

一般用検査薬では、その検査結果のみで確定診断はできないので、判定が陽性であれば速やかに医師の診断を受ける旨が記載されています。また、一般用黄体形成ホルモンキット(排卵日予測の補助を目的として用いられる一般用検査薬)では、検査結果が陰性であっても確実に避妊できるものではないので、避妊目的で使用できないことを周知徹底するよう求めています。

① 「次の人は使用(服用)しないこと」

記載の観点内容
(a) 一般的な認識のための記載アレルギーの既往歴、症状や状態、基礎疾患、年齢、妊娠の可能性の有無、授乳の有無等からみて重篤な副作用を生じる危険性が特に高いため、使用を避けるべき人について、生活者が自らの判断で認識できるよう記載することとされています。
(b) 適正使用を図る観点からの記載その医薬品では改善が期待できない症状等や、使用によって状態が悪化するおそれのある疾病や症状で、一般の生活者において誤って使用されやすいものがある場合等にも、適正使用を図る観点から記載がなされます。
(c) 重篤な症状等が掲げられている医薬品重篤な副作用として、ショック(アナフィラキシー)、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症、喘息等が掲げられている医薬品では、アレルギーの既往歴がある人等は使用しないこととして記載されています。
(d) 小児における年齢制限の記載小児が使用した場合に特異的な有害作用のおそれがある成分を含有する医薬品では、通常、「次の人は使用(服用)しないこと」の項に「15歳未満の小児」「6歳未満の小児」等として記載されています。

② 「次の部位には使用しないこと」

局所に適用する医薬品は、患部の状態によっては症状を悪化させたり、誤った部位に使用すると副作用を生じたりするおそれがあります。それらに関して、使用を避けるべき患部の状態、適用部位等に分けて、簡潔に記載されています。

③ 「本剤を使用(服用)している間は、次の医薬品を使用(服用)しないこと」

要指導医薬品または一般用医薬品は、複数の有効成分が配合されている場合が多く、使用方法や効能・効果が異なる医薬品同士でも、同一成分または類似の作用を有する成分が重複することがあります。併用すると作用の増強、副作用等のリスクの増大が予測されるものについて注意を喚起し、使用を避ける等適切な対応が図られるよう記載されています。

なお、医療用医薬品との併用については、医療機関で治療を受けている人が、治療のために処方された医薬品の使用を自己判断で控えることは適当でないため、「相談すること」の項において、「医師(または歯科医師)の治療を受けている人」等として記載されています。

④ その他「してはいけないこと」

副作用または副作用により誘発される事故の防止を図るため、避けるべき事項として主に次のような記載があります。なお、小児では通常当てはまらない内容もありますが、小児に使用される医薬品においても、その医薬品の配合成分に基づく一般的な注意事項として記載されています。

記載事項内容
「服用後、乗物または機械類の運転操作をしないこと」その医薬品に配合されている成分の作用によって眠気や異常なまぶしさ等が引き起こされると、重大な事故につながるおそれがあるため、その症状の内容とともに注意事項が記載されている。
「授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること」体に吸収されると一部が乳汁中に移行して、乳児に悪影響を及ぼすおそれがあることが知られている成分が配合された医薬品において記載されている。
「服用前後は飲酒しないこと」摂取されたアルコールによって、医薬品の作用の増強、副作用を生じる危険性の増大等が予測される場合に記載されている。
「長期連用しないこと」「○日以上(継続して)使用(服用)しないこと」「症状があるときのみの使用にとどめ、連用しないこと」等連用すると副作用等が現れやすくなる成分、効果が減弱して医薬品に頼りがちになりやすい成分または比較的作用の強い成分が配合されている場合に記載される。症状が改善したか否かによらず、漫然と使用し続けることは避ける必要がある。

(2) 相談すること(「医薬品を使用する前」に相談する場合)

その医薬品を使用する前に、その適否について専門家に相談した上で適切な判断がなされるべき場合は、次のとおりです。

① 「医師(または歯科医師)の治療を受けている人」

医師または歯科医師の治療を受けているときは、何らかの薬剤の投与等の処置がなされており、その人の自己判断で要指導医薬品または一般用医薬品が使用されると、治療の妨げとなったり、医師または歯科医師から処方された薬剤(医療用医薬品)と同種の有効成分の重複や相互作用等を生じることがあります。

そのため、治療を行っている医師または歯科医師にあらかじめ相談して、使用の適否について判断を仰ぐべきであり、特に、医療用医薬品を使用している場合には、その薬剤を処方した医師もしくは歯科医師、または調剤を行った薬剤師に相談するよう説明がなされる必要があります。

② 「妊婦または妊娠していると思われる人」

胎児への影響や妊娠という特別な身体状態を考慮して、一般的に、医薬品の使用には慎重を期す必要があります。

「してはいけないこと」の項で「次の人は使用(服用)しないこと」として記載されている場合と異なり、必ずしもヒトにおける具体的な悪影響が判明しているものではありませんが、妊婦における使用経験に関する科学的データが限られているため安全性の評価が困難とされている場合も多いとされています。

そのため、一般の生活者の自己判断による医薬品の使用は、最低限にとどめることが望ましく、既に妊娠が判明し、定期的な産科検診を受けている場合には、担当医師に相談するよう説明がなされる必要があります。

③ 「授乳中の人」

摂取した医薬品の成分の一部が乳汁中に移行することが知られていますが、「してはいけないこと」の項で「授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること」として記載するほどではない場合に記載されています。

購入者等から相談があったときには、乳汁中に移行する成分やその作用等について、適切な説明がなされる必要があります。

④ 「高齢者」

使用上の注意の記載における「高齢者」とは、おおよその目安として65歳以上を指します。

一般に高齢者では、加齢に伴い副作用等を生じるリスクが高まる傾向にあり、また、何らかの持病(基礎疾患)を抱えていること等も多いとされています。65歳以上の年齢であっても、どの程度リスクが増大しているかを年齢のみから一概に判断することは難しく、専門家に相談しながら個々の状態に応じて、その医薬品の使用の適否について慎重な判断がなされるべきであり、使用する場合にあっては副作用等に留意しながら使用される必要があります。

⑤ 「薬などによりアレルギー症状を起こしたことがある人」

その医薬品を使用してアレルギー症状を起こしたことはなくても、他の医薬品でアレルギーの既往歴がある人や、アレルギー体質の人は、一般にアレルギー性の副作用を生じるリスクが高いと考えられます。

したがって、その医薬品の使用の適否について慎重な判断がなされるべきであり、やむを得ず使用する場合には、アレルギー性の副作用の初期症状等に留意しながら使用される必要があります。

⑥ 「次の症状がある人」

その医薬品の使用の適否について、一般の生活者において適切な判断を行うことが必ずしも容易でなく、軽率な使用がなされると状態の悪化や副作用等を招きやすい症状や、その状態等によっては医療機関を受診することが適当と考えられる場合について記載されています。

専門家に相談しながら、個々の状態に応じて慎重な判断がなされるべきであり、症状の内容や程度によっては、要指導医薬品または一般用医薬品の使用によらず、医療機関を受診するべきであることもあります。

軽率な使用がなされると状態の悪化や副作用等を招きやすい症状には、その医薬品では改善が期待できないにもかかわらず、一般の生活者が誤って使用してしまいやすい症状を含みます。

⑦ 「次の診断を受けた人」

現に医師の治療を受けているか否かによらず、その医薬品が使用されると状態の悪化や副作用等を招きやすい基礎疾患等が示されています。その医薬品の使用の適否について、専門家に相談しながら、個々の状態に応じて慎重な判断がなされるべきであるとされています。また、使用する場合にも、基礎疾患への影響等に留意する必要があります。

なお、医師の治療を受けている場合には、治療を行っている医師に相談するよう説明がなされることが必要です。

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